【銀魂】江戸に住んでもろくなことない。

13.　看病 ページ13

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「大丈夫？沖田くん」

「んン…A、さん……しにそう」


ここは真選組屯所、沖田くんの部屋。

土方さん曰く、
厄介な風邪にかかって、ずっと寝込んでいたらしい。

どうりで姿をみない訳だ…。

すっかり乾いてしまった額のタオルを濡らして、また乗せる。


「いつものドＳっぷりはどうしたの？」

「Ｓは打たれ弱いんでィ…風邪だって治らないんでさァ…熱も下がんないんですよ…
だからもっと優しくしてくだせェAさん…」

「よく喋る病人さんだこと」


熱のせいか、比較的私の前ではおとなしい沖田くんが
より一層しおらしくなっている。

というより、これは甘えてるな？

なんだか大きな弟ができたみたいで
ちょっと嬉しい。


「あんまりご飯食べてないでしょ。なんか作ってくるよ」

「嫌でさァ…そばにいてくだせぇ。」

立ち上がろうとする私の腰に
沖田くんがしがみ付いて、まぁまぁな力でまた座らされる。

沖田くん、本当に病人？


「Aさーん！俺たちが粥でも買ってきますよ！
できたらそのままでいてあげてください、面白いから！」

不意に襖が開き、ザキさんが顔を出したかと思えば
沖田くんによって吹き矢で射抜かれてしまった。


「こら沖田くん、大人しくしてな」

「うう、頭がぁ、、Aさん、頭ぁ」

「はいはい、よしよし。
ちゃんと布団かぶろうね」


頑として腰にしがみつく沖田くんを引きはがすのは諦めて、
そのまま彼の背中に布団を被せる。

さらさらと頭を撫でてあげると、
彼は気持ちよさそうに目を閉じた。



すやすやと眠る沖田くんの寝顔を見下ろす。

こうしてみると、本当に整った顔立ちだ。
まつ毛は長いし、髪もサラサラ。

甘いベビーフェイスなのに、ちゃんと男の子らしい力がある。

こんな子に甘えられたら、
そりゃ甘やかしちゃうよなぁ…。


「ん‥‥、う」

沖田くんの口から微かに声が漏れる。
うなされているんだろうか。


「‥‥姉上、‥‥」

そうつぶやいた沖田くんの目から、
透明な水滴が浮かび上がる。

沖田くん・・・・、泣いてるの？


寝てる彼に問うても返答はない。
起きてる彼に聞いてみても、簡単には答えてくれないだろう。

でも、きっと辛い思いをしたんだろうな。

私はそっと彼の涙を拭って、
もう一度、優しく、優しく、髪を撫でた。







/




後日、風邪が完治した沖田は
激しい自己嫌悪に陥ったそうだ。

「死にてえ・・・」


。

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