嘘つきの秘密を君に【立海】 (ページ15)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:32,320 hit

♯１５ページ15

変な夢……。

目覚めてそう思った。

あれじゃ雅治が故意に離れたことになる。

それは違う。

雅治は記憶を無くした。

だから私を知らない。

知らない相手とは付き合えない。

これが雅治が出した答。

私に都合よく出来た夢なんだ。

まだフラつく体を起こす。

タイミングよくなる携帯。

「もしもし」

「A大丈夫かッッ??!」

ブン太の声が聞こえる。

「大丈夫だよ……」

「今からAん家行くから」

「え?」

「だーかーらーッッ、今からAの家行くって!!」

「え、ちょ…ブン太」

そこで切れた。

行くって…ブン太が家に来るってことだよね……。

熱のせいで思考回路がイマイチうまく回らない。

暫くベッドの上に座り込んでいた。

インターホンが鳴る。

だるい体のままフラフラと階段を降りる。

「ブン太………」

扉を開ければ綺麗な紫色の瞳で心配そうに私をのぞきこむ。

「お前、フラフラじゃん!!大丈夫かよぃ?とりあえず上がるぞ」

半ば強引に上がり込む。

「わッッ!!!」

ブン太は私を抱きかかえる。

「ちょ、ブン太何してんのッッ?!」

「病人は寝てなきゃダメだろぃ??」

「そっ、そうだけど………」

私をベッドに寝かせ下に降りて行く。

「びっくりした………」

いつもより少し早い心音。

いつもよりずっとうるさい。

不意に携帯が鳴った。

着信:赤也

「もしもし………」

「A…先輩、そっちに丸井先輩いないッスか?」

「いてるよ」

「わかったッス」

赤也は受話器の向こうの誰かと喋ってる。

「じゃあね」

電話を切ろうとした。

「気をつけんしゃい」

雅治??

あの話し方は絶対雅治だ。

電話は切れた。

期待してしまう。

雅治は私のこと好きじゃないのに。

行き場のない感情が私を支配する。