カゲロウデイズの真ん中で。３ ページ14
扉の奥には、長い漆黒の髪を後ろで束ねた人が立っていた。
女性だ。
「……入れ。」
促されるまま中に入る。
「…奥の方に座れ。」
小さなテーブルに、二つ、向かい合う状態で椅子があった。
私は奥の席に座り、ドアを閉めた彼女も向かいの席に座った。
彼女は、少し目を伏せて言った。
「め、目ぼしいものなんてないからな!!」
――何故、私がこんなところで盗みを働く必要があるのだろうか。
「と、盗らないよ！」
「そうか……。」
安心したのか、この話を切るためなのか、彼女は長いため息をついた。
「……それで、お前も誰かと死にかけたのか？」
「えっ…？」
私は、内心ドキッとしてしまった。
だって、何も言ってないのに事情がおおよそ分かってるし……。
「…なんだ、忘れてしまったのか？」
「いや……、覚えてるよ。」
覚えている。
はっきり。
姉とともに死んだこと……。
まあ、死んだかははっきりわかんないけどね。
今、こんなふうに喋ってるし。
あぁ、そういえば、前提として知っておきたいことがあったな。
「あの、ここって『死者の国』っていう天国か地獄なんですか……？」
「そんなものはない。」
やっぱり。
「お前たち人間は、本当にそういう迷信が好きだな…。」
人間………???
「あなたも人間でしょ？」
「姿形は似ているが、人間ではない。」
え……？
まあ、こんな真っ暗な世界で普通に暮らしてる人間なんていないよな……。
でも、人間じゃないなら何なんだろうな。
ん。わかった。
多分ね。
「本題に戻すが、お前はどういう経緯でここ―『カゲロウデイズ』に入ったのか、教えろ。」
インビジブル ガール.Before storys→←カゲロウデイズの真ん中で。２
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
豆腐ちゃん - あさんそれは誰に向けてですか？ (2023年3月22日 19時) (
レス) @page19 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
あ - し、ね (2017年6月27日 14時) (レス) id: 350e8504f6 (このIDを非表示/違反報告)
矢野 ユリ - 頑張ってください。イラスト描こうかなぁと思うけど、やり方わかんないです。 (2017年3月31日 7時) (レス) id: 053764a0db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
