【マフィア松】感情無キ絡繰人形 (ページ15)

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今のガラス音は一体

音のした方に目をやる。

そこには一つの穴を中心に亀裂の入った窓があった。

赤「今のは俺が殺る所だったでしょ！カッコ良くキメようと思ったのにー！」

緑「煩いよ。さっさと撤収させて。」

赤「ちぇっ…チョロちゃんのイケズ」

誰がイケズだ誰が！チョロちゃん呼びすんな！と怒鳴る緑を無視し、自身の耳元に手をやる彼。

赤「任務完了。撤収しろ」

仲間に通信をしているのだろうか。

ピアスが通信機になっているのか。

通信を終えたのか。彼はさて、と言葉を呟きこちらに振り返る。

赤「暁月。だっけ？これどうしようか」

緑「殺ってそのままお終い。何時もそうでしょ。」

赤「そうだけどさ、十四松とカラ松に攻撃出来たんだよ？あの筋肉ゴリラ共にだよ？」

会話を続ける松野ファミリー。

出血をし過ぎたか。それとも薬のせいか。ゆっくりと下がる瞼。

こんな世界だ。死ぬ事に対しての恐怖など無い。常に危険を問う仕事なのだから。

瞬間、目にチカリと光が入る

それは遠くのビルから見えた光によるものだった。

視力が良い事と過去の経験からそれがなんの光かを瞬時に理解した。

スタイパーだ。何らかによって光が反射したのだろう。

その銃口が向けられているのは＿赤ワイシャツの彼。

会話をしているせいか、その存在には気付いていない。

ふと、思う。

今まで幾つものファミリーを転々としてきた。かつての主であった者は皆、私をガラクタと呼んだ。

無論、その事に対し意見する者など居なかった。

彼が初めてだったのだ。捨て駒扱いされている自分に目を向けてくれたのは。

・

・

気付けば私は赤の彼に向かって走っていた。

起き上がれた。だが何故だろうか。

理由が分からないまま、私は駆け出していた。

そのまま彼を突き飛ばす。

私の手によって突き飛ばされた彼が端によろけながらこちらを見る。

赤「え、あ…」

何故私は彼を突き飛ばしているのだろう。

あのまま何もしなければ、彼はスナイパーの手によって命を落としていた筈なのに。

赤｢まっ……！｣

ﾊﾟｧﾝ

・

響く鋭い銃音。

倒れる体。

染みる紅。

限界に達した体はピクリとも動かせない。

分からない事だらけのまま、きっと私はこのまま死ぬのだろう。

でも

こんな終わり方も悪く無い。

そう思いながら、ゆっくり目を閉じた。