ぎこちない会話 ページ15
彼らは何も変わっていなかった。温かさも何も。
「そう言えば、かねきくんの紹介がまだだったね!」
と、月山さんが無駄なモーションを付け足してハキハキと言う。しかしもう、誰もそれにはツッコミを入れない。
そう言えばそうだったな、と私も違和感を感じることなく納得してしまった。
しかし、違和感を感じない代わりに懐かしさを感じた。
どれくらいあの暗い世界にいたのかわからないからだ。
「彼がリトル
と、月山さんはノリノリに、そしてネイティブに話す。
しかし、私は思わず
「馬鹿にしてるの…?」
と苦笑いしてしまった。
【Écureuil】と言うのは彼が言っていたのだが【リス】と言う意味らしい。
それにリトルをつけると言うことは、だ。
かなり私のことを小さいと言っている。
ああ、確かに私は多少は小さいだろう。
しかし、そこまで言わなくてもいいじゃないか。
これでも頑張ってコーヒーに牛乳というまるでゲテモノのような味がするものを飲んでいたんだから。
「まあ、リスって可愛いから良いけどさ。
かねき、くんだっけ…?本当にありがとうございます。」
と、私はかねきくんの方を向いて深く頭を下げる。
眼帯をつけた黒髪の彼はあわあわと両手を振る。
「大丈夫だよ!頭、頭上げて!」
と、とても情けない声を出していた。
とても、気が弱そうな人だな、と思った。
しかし、きっとすごく優しいのだろう。優しすぎるくらい優しそうな雰囲気を漂わせている。
「柏村Aです。…あれ?もう霧島?」
私はトーカに目線を送る。
トーカは首をコトンと倒す。
『好きなようにしな』という意味だと感じとる。
「とりあえず、前は柏村でした。今は霧島です。」
「トーカちゃんの親戚?
それに柏村って…中原中也の本名と同じ名字なんだね。」
「いや、訳あってこの前から霧島にさせてもらいました。
あと、そうなんですよね。私、彼の詩が好きなんで勿体無いと思うんですけどね。でも必要なことだったし、霧島の方が言葉の響きが好きなんです。」
そう笑う。
彼は何故かすぐに心を開けた。
警戒心を抱かせない不思議な雰囲気を持つ人だった。
でも、会話がとてもぎこちなくてとても内向的な人だった。
言葉を噛み砕いて、吟味してから話すような。
もしも彼にコミュニケーション能力が備わっていたら友達100人なんて軽々できるのだろう、そう思った。
彼の話 私の話→←あんていく(ご指摘、ありがとうございました。修正致しました)
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hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» >>また、他にも評価が高い作品が多い中で、この作品を読んで頂きありがとうございました。 少しでも楽しませられたら幸いです。 本当にありがとうございました (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» ご指摘、ありがとうございました。本当に助かります…orzすぐ、誤字や誤った設定をしてしまう癖があり、誤字などがある作品の印象って悪くなると思うんです…。なので、珈世さんのような方がいらっしゃると本当に助かりますorz >> (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» >>また、文ストと混ると言うことは、文ストは好きだけどグロは苦手、と言う人も読めるような、マイナスな印象を与えず書けていたみたいで良かったです。 最後になりますが、他にも引き寄せられる作品がある中で読んでいただき本当にありがとうございました。 (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» Nightさん、コメントありがとうございます。内容を好んでいただけて、本当に嬉しい限りです…昇天できます…。それと、文ストと混ぜる、そして文ストの世界に転生する夢主が喰種という不思議な設定が上手く惹きつけられる要素になっているようで安心しています…orz >> (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 夜雨ナナトさん» >> 最後になりますが、数多くの作品の中でこの作品を読んで頂きそして、応援していただき本当にありがとうございました (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年1月15日 0時