さよならノスタルジア【東京喰種】 (ページ3)

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待つ時間ページ3

私は白日庭で産まれた、奇妙な子供だった。
普通の喰種でも、人でもなかった。
だから、
物心ついたときには研究室の一室が私の家だったし、他のみんなみたいに庭を駆け回ることもなく、朝がきて夜が来て1日をただ消費される、そんな日々を送っていた。

真っ白な部屋。
真っ白な、ベッド。
真っ白な服。

きちんと閉まらない蛇口。
顔を洗ったり、髪を整えたりするには寂しい洗面台。
夜になると何も見えなくなる部屋。

南側と東側の窓から入る光が、
壁と床、家具、全ての白が反射する光は眩しかった。

清潔感と同時に、孤立感を感じさせるこの部屋で、私は1日を迎え、終わりを待っていた。
証明代わりの、南側と東側の窓。
壁と床、家具、全ての白が反射する光は眩しかった。

あーあ…。面白いこと、何もないな。
もし今日研究室が爆破されたり、こんな風に隔離された私のことを哀れに思う人が一緒に逃げたりさ、そんな非日常的なことが起こればいいのに。
そんなことを思いながら、いつもどおり血液採集を終え、食事も終えて、勉強の時間が来るのを待っていた。

勉強、と言っても本の中に出てくる様な「がっこう」と呼ばれる所でする勉強とは違う。
小説、と呼ばれる物を読み聞かせされて感想を言ったり、数字の並びから法則を見つけたりして答えを出すだけの単純な物だ。
それと、勉強を教えてくれる研究員の人は、他の研究員の人と違かった。毎回同じ人なのだ。
だから、名前も覚えてくれてる。
それに、私をいつか外に連れ出してくれるというのだ。外の話を聞かせてくれながら。

だから、私はそんな勉強の時間が好きだった。
早く来ないかな、と思わせてくれるこの時間も。