必要ない、いらない奴？そんなこと言わないでください。Part2【黒バス】

第31話。過去編* ページ1

今日もいつもと変わらない。

教室の扉に手をかける。


「おはよう！」

『おはっ…』

『香織』

『…』


テストを終えたあの日から一週間が立った。

なんだか最近、皆がよそよそしい気がする。

私、何かしたかな？


「え…」


自席に歩み、酷く驚く。

油性ペンで書いたと思われる落書き、悪口。

溢れんばかりの紙屑。


『あはは、ざまぁみろ』

「な、なんで…」


いつも通りだと思っていた。

…思っていたのは、私だけだったみたい。

瞳に涙が滲む。


『急に成績よくなったり、運動能力上がったりして気持ち悪いんだよ！』

『Aちゃんさぁ、カンニングしたんじゃないの？』

「っ、そんなの…」


ただの嫉妬じゃん。

カンニングなんてしていない。

言い返そうと一歩踏み出した。


『そんなの、なに？』

「いっ、」


髪を引っ張られ、彼女との距離が近くなる。

一直線に目が合う。

精一杯、睨みつけた。


『…その目はなによっ！』

「うぐっ、」


お腹あたりに膝がめり込む。

そのまま後ろに吹き飛ばされた。

暴力まで、振るわれたのか。


今まで、伏線がなかったわけじゃない。

上履きが隠されていた。

教科書が捨てられていた。

ノートが破られていた。

…まさか、友人の仕業とは思わないじゃない。


桃「A…？」

「さ、つき？」


今日、倶楽部の会議あるから先いくね。

そう、言ってたっけ。

会議終わったのかな。


桃「ちょ、A大丈夫？！」

「だ、いじょ…」


かけよってくれる。

さつきに心配かけたくなくて作り笑いを浮かべたけど、さっきの衝撃が強くて咳き込む。


『さつきぃ、そんな奴ほっといてこっち来なよぉ』

桃「は…」


クラスメートの声に私から視線を外す。

そんなさつきのスカート裾を軽く引っ張る。


「さ、さつきは、私の、味方？」

桃「そんなの、きま」

「っ、」

桃「A！」


聞くだけ聞いて、私は走りだした。


さつきは、きっと味方だよって。

言ってくれるって、わかってる。

だけどどこか疑う私がいた。

そんな私が厭だった。

教室の空気にも耐えられなかった。


桃「A待って！」


後ろから聞こえるさつきの呼び止めも無視して、走る。

走って走って、走った。


「うぁっ、」


足がもつれて、廊下に転ぶ。

摩擦、痛いな。


ちょっと勉強が、運動が。

出来るようになっただけでこの様か。

…友達、ってそんなものだったっけ？

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