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今すぐにでも適当に理由をつけて、この場から立ち去りたかった。だが、会長さんがそれを許すはずなく私を方をじっと見つめて逃げるなとでも言っているかのようだ。
未だに微笑んでいる会長さん。
静かな雰囲気に耐えられなくなった私は、何とか話を振り出す事にした。
『そう、ですか。』
「おや、あまり嬉しそうではなさそうだね。」
『いえ....とても光栄に思います。』
口角を無理矢理上げる。これで笑っているように見えるのだろうか。それは目の前にいる会長さんにしか分からない事だった。
会長さんは何を伝えに来たのだろうか。私には全く分からない。賞賛だけならば、わざわざ私の所には来ないだろう。__それなら何が目的で私の所に来たというのだろうか。
『会長さん....その建前は結構です。単刀直入に言ってください。』
「ふふっやはり君にはバレちゃうか。」
誰でもいいからこの雰囲気を壊して欲しい。なんて願いが届くはずがなく、誰かが来る様子なんて全くない。
すると会長さんが、私の肩に軽く触れた。急に触れられたものだから勿論驚いてしまう。
....怖い。怖い。怖い。
「別に僕はちゃんとお仕事をして結果を出せれば何も言わないよ。けど___いつまでも過去に囚われていたらいずれ支障が出るかもね。」
『!?』
会長さんの言葉に身体が強ばる。
今まで隠し続けていたはずなのにも関わらず、何故こんなにも簡単に知られているのだ。
なんで....どうして。
目の前にいる彼は夢ノ咲学院の最高権力者、そして大財閥。それほどの力を持っている彼ならば、人の過去の一つや二つくらいは簡単に調べる事なんて可能だろう。
「これは僕からの忠告だよ。安心して。君の過去に関する事は誰にも言わないから。」
この男が悪魔に見えて仕方がない。
肩から手を離した。それなのにも関わらず身体が強ばっている。
きっと今の私は青ざめている。
それでもなお、顔色一つ変えずに微笑んでいる会長さんは一体何がしたいのだ。
「時間を取らせちゃってごめんね。それじゃあお仕事頑張ってね。」
そう言って立ち去った会長さん。
すると事が終わった時のように、力が抜けていくのがよく分かった。
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『そんなの__私が一番分かってる。』
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あませ(プロフ) - ほたるさん» コメントありがとうございます。徐々に重くなっていく話ですが、最後まで書ききれるようにします。更新ペースが遅くならないように頑張ります! (2020年3月2日 18時) (レス) id: eaae7a7c94 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - めちゃめちゃ好きな話です!続きが楽しみすぎます!! (2020年3月2日 17時) (レス) id: 101ac6905b (このIDを非表示/違反報告)
あませ(プロフ) - 瀬永ゆうさん» コメントありがとうございます。それなですッッ!月永くんって本当に可愛いですよね( > < )お身体のお気遣いありがとうございます。これからも頑張っていこうと思います! (2020年2月15日 12時) (レス) id: eaae7a7c94 (このIDを非表示/違反報告)
瀬永ゆう(プロフ) - レオぴ好きだ...可愛いかよッッ!お身体にも気をつけて頑張ってくださいね!応援しています(*´ω`*) (2020年2月15日 9時) (レス) id: 4117ae44bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あませ | 作成日時:2020年2月13日 18時