アサガオの花言葉 18 ページ18
晋助の部屋に戻り、早速ページを捲りアサガオを探す。
「あ」行なので直ぐに見つかり、目を滑らせ花言葉を見ていく。
万斉が言っていたように、色によって花言葉が変わるみたいだ。
私が晋助の部屋へ持ち帰ったアサガオは、青色だった。
青色のアサガオの花言葉は…
「儚い恋」「短い愛」
ドクッと心臓が嫌な音を立てる。
…儚くて、短い。
それがどうも遠い存在の言葉と思えない。
身近に感じて、自分の今の現状を表しているかのような表現に思わず本を閉じる。
チラリと飾ってある青いアサガオを目にすれば、それは本当に儚い花に見えて。
立ち上がり傍により、そっと触れてみる。
なんだか晋助の冷たい肌と似ていて、胸が苦しくなっていった。
☕
その日の夜。
晋助に似た青いアサガオに愛着が湧き、ずっと愛でるように傍にいた。
日に当たるように窓側に置いたアサガオは、月の光に照らされると何とも言えないくらい淡い色に輝いて。
素敵だな、と。
そんな感情が私の中にポツンと宿る。
「何してんだ」
いつの間にか部屋に入ってきていたのだろう。
物音も立てず帰ってきた晋助に「おかえりなさい」と声をかける。
すると彼は目を見開き、少し動揺した目の色を見せた。
「おかえりなさい、か」
ボソッと独り言のように呟いたそれに返事をする。
「「何してるんだ」とか「まだ寝てないのか」とか。そんな言葉じゃなくて、「ただいま」って言葉が聞きたいの」
アサガオの葉に人差し指で触れる。
返ってこない返答に、少し面倒だと思われたのかもと後悔する。
けど事実を述べたまでだ。
開き直り布団に行こうと立ち上がり歩きだそうとすると、その腕を晋助が掴んだ。
ビックリして勢いよく振り向くと、照れ臭そうに頬を染める晋助が。
初めて見る少年のような表情に目が奪われ、息をするのを忘れてしまって。
「…ただいま」
消えそうな声。
でもしっかり届いたその声に脳が停止する。
と同時にポロポロと涙の玉が頬を滑って。
…あ、あれ、私なんで泣いてるの。
けどこの涙は決して悲しいものじゃない。
嬉しいのだ。
「おかえりなさい」
流れる涙に戸惑いながらも、自然な笑みがこぼれ彼に笑いかけていた。
私の言葉を聞いた晋助はグッと私の腕を引く。
そのまま彼の胸に頬が触れると、背中に腕を回され優しく抱きしめられた。
無言で回された腕は確かな熱量があって。
それは、子供が親と抱きしめ合っているような温もりの様に感じた。
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お茶(プロフ) - チノちゃんさん» ひゃぁぁありがとうございますうう泣 (2020年7月20日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
チノちゃん(プロフ) - 凄く良かったよぉぉぉぉお (2020年7月20日 1時) (レス) id: 5e7e485832 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - きょこさん» わぁぁありがとうございました泣泣 本当に嬉しいです、、、!! (2020年6月28日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
きょこ - 高杉〜!!!かっこよすぎる!おもしろかったです。もっともっと読みたい…キュンキュンしまくりでした。ありがとう^_^ (2020年6月28日 17時) (レス) id: 5129d38d73 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みきゃんさん» 了解しました!この作品の番外編をいずれ作ろうと思いますm(_ _)m (2020年6月19日 18時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2020年3月6日 13時