『決意』の代償 ６ ページ19
貴音side
シンタローは意識はほとんどないようだったが、しきりに「アヤノ……」と呟いている。
「え、ちょっと、何があったのよそれ！？あんたに背負われて一っ跳びされて酔ったっていう感じじゃないわよね？」
その証拠に吐いていない、などとは言わない。さすがの私もそこまで馬鹿じゃない。
すると、パニックに陥ってしまっているアヤノちゃんがオロオロしながら言った。
「シンタロー、サクラちゃんに部屋に閉じ込められてたみたいで……。しかも風邪を酷くこじらせちゃったみたいで、全然意識もなくって……。私達が行った時点で、この子、ぐったりと部屋の床の上に倒れてたんです……。」
「そんな……！」
サクラのやつ、一体どれだけ人を傷つけたら気が済むんだ。あいつの個人情報、絶対にネット上に流してやる。それでAとシンタローの敵をとるんだ……！
私がそんな事を考えている間にも、シンタローは苦しそうに荒い息をしながら「アヤノ……アヤノ……」と延々とうわごとを言っていた。
「シンタロー、私はここにいるよ。大丈夫、大丈夫だから……」
遥曰く、「シンタロー君はアヤノちゃんに何かあったと思ってずっと心配していたらしい」とのこと。よっぽどアヤノちゃんのことが大切なんだな……。
そんな二人のことを一度は引きはがしたなんて……。サクラのやつ、増々許せない。
「あの、その人、私の近くに連れてきてもらっていいですか？」
突如、Aが口を開いた。
「え、一体どうするつもり？」
さっき能力が暴走していたし使い方も効果も覚えていないようだったから能力は使えない筈。一体どうするのだろう。
遥は言われたとおりにシンタローをAの傍へ運んだ。するとAはシンタローに手を触れ、目を閉じる。そして大きく深呼吸をして目を見開いた。
「……！」
いつの間にやら戻ってきていたキド、セト、カノも含め、この場の全員が息を飲んだ。
Aの目は赤く染まっていて、シンタローの苦しそうな呼吸も整えられていく。そして、シンタローはゆっくり目を開いた。
「あれ、ここは……。ん、なんでA先輩が……。あれ？オレ、遥先輩に背負われてるのか？」
「シンタロー！！」
「うおっ！」
遥がシンタローを地面に降ろした瞬間、アヤノちゃんは目に涙を浮かべながら、嬉しそうにシンタローに飛びついた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美結(プロフ) - アヤカさん» はい！ (2015年9月13日 11時) (
レス) id: 50a0a8e162 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - 美結さん» へえ、そうなんですか。まあ、ともかく、小説、これからもよろしくお願いします！ (2015年9月12日 15時) (レス) id: b35e3a5f34 (このIDを非表示/違反報告)
美結(プロフ) - アヤカさん» いえ、やってませぬ。母上がダメよとおっしゃるのでね‥‥僕は関西らへんです！ (2015年9月12日 12時) (レス) id: 50a0a8e162 (このIDを非表示/違反報告)
アヤカ(プロフ) - 美結さん» 関東の某所、とでも言っておきましょう(笑)。ここじゃ怖いのでtwitterやっていらしたらそこで県だけお教えしますけど、やってますか？ (2015年9月12日 0時) (レス) id: b35e3a5f34 (このIDを非表示/違反報告)
美結(プロフ) - アヤカさん» そんなことありますよん！因みに作者さんたどこに住んでらっしゃるんですか？ (2015年9月11日 11時) (レス) id: 50a0a8e162 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アヤカ | 作成日時：2015年8月19日 1時
