柱の少女は、狙われ体質。参

特攻 ページ23

『漆の型 疾速・天地無双!!』








四肢に極限まで意識を集中させ、格段に速度が上がった。無惨の速さにも目が追いつく。


何より、悲鳴嶼さんの言っていた透き通る世界に一瞬入れた。この目と速さをもってすれば、私でも役に立てる。









ただし代償として、腕は駄目になる。少なくとも右腕は確実に痙攣……いや、機能しなくなるだろう。制限時間は1分といったところか。


それでも、どんな手でも惜しまず使わなきゃ無惨は倒せない。









そもそも私の刀身は赤くない。どれだけ無惨の体を斬ったところで直ぐに再生してしまうだろう。







だから、


『一瞬の隙も、逃さないでくださいね。』




「何をする気だ、蒼天。」




『何って……まぁ、特攻です。』




「……死ぬな。柱が欠ければ、それだけ勝機は薄まる。」




『じゃあ、冨岡さんと伊黒さんはこのままで勝てると思ってますか？』




『そんな心配しなくて大丈夫ですよ。特攻はしますが、そう簡単に死ぬつもりはありませんから。』




「……」





冨岡さんと伊黒さんは、何も言わない。


それを了承とみなし、私は無惨の間合いに突っ込んだ。









無惨の触手を切断しながら、無惨に近づいていく。

直ぐに再生されるが、その隙に悲鳴嶼さん達が更に攻撃をしていく。









無惨の背中を半分削いだところで、私の右腕が宙を舞った。









右腕でよかった。

技の代償でどうせ使えなくなっていたものだったし。









「A!!」


実弥が凄い形相で私の名を呼んだ。









その声にハッとして左手で刀を構え直すと、目の前には無惨の攻撃が迫っている。

刀で防ぎきれず、そのまま後方へふっ飛ばされた。









薄れゆく意識の中、実弥の声だけが聞こえたが、それきり私は意識を失ってしまった。

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