あなたの笑顔を。【テニプリ】 (ページ9)

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「Aちゃん！今日だけでいいから女テニのマネやってくれない？」

どうして私がこんな目にあっているのか…。
女子テニスの練習を見ている中、私はそんなことを思う。
もともとマネ少なかったし、仕方ないのかな。

断れない自分の性格を恨みながらドリンクを作っていく。

本当だったら今頃リョーマくんの試合が見れたのに…。

そう思いながら周りを眺める。

ここに来るのは久しぶりだ。前まではテニス部だったもんな。
私は本当だったらずっとここにいたはずだったんだ…。

少しだけ寂しい気持ちになったが、気のせいだということにしよう。

ドリンクが完成したところで呼びかけをするとたくさんの部員が集まってくる。

その中で一人の少女が目の中に飛び込んでくる。

髪を2つにわけ、三つ編みに結んでいる。
彼女の白くて可憐な体は相変わらず美しかった。

「竜崎さん…」

そう呟けば彼女はこちらを向く。
体全身に震えがはしる。
あんなに大好きだった彼女も今じゃ怖くてたまらない。

そうだ、テニス部の彼女が居ないわけがない。なんで大事なことを忘れていたんだ。こんなことになるなら、無理矢理でも断っとくべきだった。

目を逸らしながらドリンクを手渡す。
きっと私の手は震えているだろう。

彼女がそれを受け取ると声を発する。

「ありがとう」

その言葉に驚いて前を見ればそこにもう彼女はいなかった。

いつの間にか手の震えは収まっていて、苦しい気持ちもなくなっていた。