16.文月 ページ16
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7月になった。
結局、マネージャーは私1人で、
野球部には、真田くん、平畠くん、
あと数名が入部した。
『オラーーーー！！練習サボんな！！！』
「ゲッ鬼マネージャー」
『誰が鬼よ！！！！』
地区大会は、結局2回戦負け。
でも、1回戦勝てたのは、ものすごい収穫。
「今日も張り切ってるねー望月」
『真田？まだ走ってる時間じゃないのかな？』
「望月が可愛いすぎて吸い寄せられてきちゃった」
『もうその手には乗りません』
同じクラス、同じ部活の真田とはすっかり仲良くなっている。
なんか、当初のイメージとはかなり違って、結構おちゃらけたやつなんだなって感じ。
テキトーにあしらっていると、真田がにっと笑って私に近づいた。
「お願い、望月。このへんで勘弁して…？」
腕を引かれて、耳元で低くささやかれる。
『………………』
「いって！！わかったよ行くから！、」
足を踏んづけると、さっさと真田は走って行った。
『ったく…………』
「望月ードリンク」
『平畠！はいどーぞ！』
「俺との扱いの差…」
『真田は早く走ってきて！』
真田をさっさと追い返すと、平畠の方を振り返る。
平畠遼。
自由奔放なうちの野球部で、唯一真面目な男。
「望月も大変だな」
『いやいや！仕事ですから！』
「いや、お前、マジですげーよ」
『…………』
「思い出作りに野球やってた先輩たちも、
お前が来てから変わったって褒めてたぞ。
こんなこと、そんな簡単にできることじゃないよ」
『………なんか、平畠に言われると照れる』
「なんでだよ！」
平畠が笑う。
『だって、平畠は、冗談で言わないじゃん？……………どっかの誰かと違って』
「望月ー走ってきたよー」
『うわ汗だくじゃん！！近づくな！！』
さっさと帰ってきた真田が、後ろから肩に頭をもたれてきて、げっと避ける。
「望月が最近辛辣〜」
『ふざけてばっかだからじゃん！！！』
その時、ジャージのポケットの中で、ケータイが震えた。
差出人の名前を見る。
『……………鳴？』
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作者名：すた | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月6日 0時
