15.相談 ページ15
.
.
真昼の川辺に、笑い声が響く。
「カハハハハハハ!!!」
『……………』
「雷市ーあと50やったら昼飯なー」
「カハハハ!!カハハハハハハ!!」
『………………』
「だーーー、この!!!」
制服のまま、どよんと土手に体育座りする私に、ゴロ寝をしていた雷蔵さんが振り返る。
「辛気臭ぇのが移るだろが!!!
あっちいけモッチー!!!」
『………………』
「………………」
『………………』
「あのなー、言いたいことあんなら自分で言え」
『………………』
再び雷市の方に向き直る雷蔵さん。
私ははぁとため息をついた。
『雷蔵さん……………』
「あぁ?」
『野球部、1人入りましたよ。ピッチャー』
「ほう、よくやった」
『でも、何かが違うんですよ』
「何かってなんだよ」
ーーー「そこまで野球に懸けるつもりないし」
『別にみんな、甲子園とかーー目指すほど、熱くないんです』
「…………」
『御幸くんも、鳴も…思えば私の周りって野球バカしかいなくて』
「…………」
『これが、私立と公立の、意識の差なのかなぁ、って』
はぁ、と再びため息。
私、もしかして、選択ミスった?
青道に入ってても、稲実に入ってても、
きっと、今頃キラキラマネージャー生活を送ってる…
だって、違うもん。意識の高さが
「…まー野球ってのは、勝たなきゃつまんねぇからなぁ」
『……………』
「しかも勝つには、泥臭ぇ基礎やら練習やらを、朝から晩までやんなきゃなんねぇ。
つまんねぇ練習やったって、勝てねぇ相手だっているわけだ」
『…じゃあ、悪循環じゃん。どうしたらいいの、』
ぶすっとしながら聞くと、面倒そうな声が返ってくる。
「んなもん、練習するしかねえに決まってんだろ。
勝ったヤツで、練習してないやつはいねえ」
『………………』
「まだ4月の頭じゃねーか。
あきらめんのはまだ早いぞモッチー」
『……………』
「(ま、少なくともこいつには若干の罪悪感も感じてるしな…)」
『………………わかったよ、もう少し頑張ってみる』
「そうだその意気だ!!久しぶりに御幸くんにでも有ってきたらどーだ?!」
『嫌ですよ!!いい女になってから!!!』
.
.
460人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時