17.買物 ページ17
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鳴からのメールの内容は、
「日曜日試合見に来て!」
だった。
「…あ」
『へ?』
「望月じゃん」
『御幸くん!!』
偶然に感謝。
街中で御幸くんに遭遇なんて、ツイてる。
『久しぶり〜〜!!御幸くん寮だよね?なんか買いに来たの?』
「先輩のパシリ。ジャンケンで負けてさ」
『御幸くんのパシリとかレアすぎる…』
「こらこら写真撮るな」
困り顔の御幸くんをパシャパシャ撮りまくる。
よし!ここは、
積極的に行こう。
『そーだ!青道、決勝進出おめでとう!』
「おー、さんきゅ」
ニコッと笑うと、御幸くんがふっと笑い返してくれる。
これぞトキメキ。
やっぱ、好きだなぁ…
「まさかあの時の約束、もう叶っちまうとはな」
『中3のときのあれね。で、自信のほどは?』
「頼りになる強い先輩たくさんいるし、結構いい試合するんじゃないかな」
『御幸くんもすごいよ、1年生で正捕手なんて』
「あー、まあ色々あってな」
『…ね、御幸くん』
買い物する御幸くんの腕に、甘えるように擦り寄った。
『…鳴に勝ったら、私を彼女にしてよ』
耳元でささやくようにつぶやくと、御幸くんは、ガシッと私のあごをつかんだ。
「…へぇ、それで面白い女になったつもり?」
『ぜーんぜん。ウソウソ冗談だよ』
ぱっと離れて、何事もなかったように歩き出す。
夕暮れの東京の下町は、
人通りが多くて、がやがやしててにぎやか。
「鳴とは連絡とってんの?」
『ううん、テキトーなやつだから、ほとんどメールしてない』
「決勝は見に来るんだろ?」
『もちろん』
左に曲がって歩き出す。
と、その時、ぐいと腕を引かれて、御幸くんのそばに引っ張られた。
と同時に、道路をものすごいスピードで通り抜けるバイク。
「……………うかれすぎ、バカ」
周り見ろ、そうつぶやく御幸くんに、かぁと顔が熱くなるのを感じた。
『……………ごめんな、さい、』
そうやって強引なのは、
反則、です。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時