10.紹介 ページ10
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高校生活2日目。
私は頭を抱えていた。
『(部員集めろって言ったって…)』
ぼーっとみんなの自己紹介を聞く。
甲子園に行きたい。
それは、生半可なことじゃない。
部員だって多いほうがいい、それは当たり前。
『(でも…この高校、調べたらいつも地区大会1回戦負けで…)』
「おーい望月。次お前だぞ」
『は、はいっ!』
あいうえお順の出席番号、
なぜか横のラインでスタートした自己紹介。
廊下側一番前の席の私は、その場に立つと、
後ろを振り向いた。
『え、と…………望月Aです』
き、キンチョーする…
『趣味、は、野球観戦でーーー』
ーーー「部員、集めてくんね?」
いうべきなの、かな。
ここで、言うべきなの、かな?
や、でもまだマネージャーにすらなってないのに部員募集中です!ておかしすぎる…
顔を上げると、私を見つめるたくさんの顔。
うう、視線集めるの苦手…………
『野球部のマネージャーやるつもり、です。
…よろしくお願いします』
言 え な か っ た
自分の席で後悔に苛まれていると、
みんなおどおどしてる中、明るめの声が教室に響いた。
「真田俊平です。趣味はウイイレ」
…ウイイレ?
「部活は、野球部に入るつもりです。
1年間よろしく!」
………………野球部!!
思わず振り返る。
ガッチリした身体、たぶん、180あるんじゃないかな。
そして、爽やかめで優しそうな顔の人。
やったよ、雷蔵さん……………!!!
部員、1人ゲット……………!!!
(望月はなにもやってません)
感慨にふけりながら、ほんの少し顔を見ると、
ぱちっと目が合う。
すると、ふっと笑われた。
『………………』
まるで、私のことを知ってるみたいな反応だなぁ…
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時