検索窓
今日:18 hit、昨日:24 hit、合計:408,770 hit

09.後悔 ページ9

.


.



「はぁ?薬師?」


『うん』



学校からの帰り道、セーラー服で隣を歩く俺の幼なじみは、こっちを見ないでさらりと言って。



「どこそこ」

『知らないの?あっちの方だよ』

「…お前、稲実にするって言ってたじゃん、
制服がかわいいだとか」



ばれないように、のぞき込むように、何でもないように、
Aに聞くけど、こいつの表情は動かない。




なんだよ、それ。



つい一週間前までは、進路のプリント見ては絶望的な顔してたくせに。





『うん、でももう決めたから』

「一也がそこ行くって行ってんの?」



これを聞くのは悔しくて、一番聞きたくない言葉を、もしかしたら引き出すのかもしれない質問。





ばればれなんだよ、バカ。




幼なじみなめんな、知ってんだよ



お前がふられたことくらい




『さー?御幸くんがどうするかは、知らない』


「…………」


『修行するの。薬師で修行して、いい女になって帰ってくるの』




キラキラした顔で言う。



あーーー。わかった。

絶対誰かの入れ知恵だ、こいつの場合。



昔っからそう。

何か思い立ったかと思えば、だいたい誰かの影響受けてんの。


そのままでも、お前は、充分ーーーー




そう思いかけて首をふる。


今のこいつに言ったって、ふられんのは目に見えてるんだから。


てんぱった俺は、あの時、一也に言わなかった言葉を、ぽろりとこいつに言ってしまう。




「…後悔しても知らないよ?」



「俺は甲子園に行く。
今まで通り俺の隣でニコニコしてりゃあ、周りのやつよりいい思い、できると思うけど」



『…………絶対しない。


鳴こそ、後悔、しないようにしなよ』



「…何が?」



『甲子園に行くのは、薬師だもん』




.



.

10.紹介→←08.宣言



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (215 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
459人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也 , 成宮鳴   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:すた | 作者ホームページ:   
作成日時:2015年12月6日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。