04.恋慕 ページ4
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中学生の私は、恋をしていた。
『こらー!鳴起きろー!』
「うるっせーな!起きてるよ!」
幼なじみで腐れ縁の、成宮鳴。
の、やっているシニア野球で、
別のチームにいた男の子。
「バックホーム!!!」
笑顔のかわいい男の子、御幸一也くん。
「ひゅー。やっぱやるねー、一也」
あの自信の塊みたいな鳴から珍しく認められている、
キャッチャーの男の子。
でも、中学も違う私には、彼は遠くて。
「Aー!日曜試合あるから絶対来いよ!」
『…どこと?』
「江戸川」
幼なじみの鳴の試合を見に行く、その口実で、
私が見ていたのはたった1人。
「やっほー、一也!相変わらずお前はすごいねえ」
「…試合勝っといて、嫌味にしか聞こえねえんだけど」
『あ、あの、御幸くん!お、お疲れ様…』
「ぷ、A、顔真っ赤だけど」
『め、鳴うるさい!!』
「望月ってかわいいなー」
『えっ…』
私は血液逆流するんじゃないかってくらい心臓がドキドキうるさくて、
下げていた顔を上げて御幸くんの顔を見た。
でも
「でさー俺の球が今日もキレっキレで」
「はいはい」
次の瞬間には私のことはもう見てなくて
感じるんだ
あれは、 他人 に対して気を使ってるだけなんだって
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それでも私は、持ち前の明るさで、必死にアタックした。
試合を見に行って
練習後に声をかけて
鳴は手伝ってくれなかったけど。
「いつもサンキュ、望月」
彼の笑顔が、たくさん見れた。
そして、中学二年の夏、
『はい!スポドリあげる!』
「間接キス?」
『違いますー!』
私と御幸くんは、よく話すようになっていた。
ジョーダンだっての、ケラケラ笑う御幸くんを、むくれて睨みながらも、胸が高鳴るのを抑えきれなかった私。
『あの、さ、』
『御幸くんって、好きな人、いるの?』
「…なんで?」
いい雰囲気だなと思ったの。
夕暮れに、2人でベンチに座って、グラウンドを眺めていて、
いい雰囲気だなって、思ったから、
『私………御幸くんが、好きです』
「…………………」
『付き合って、ください』
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「気持ちは、嬉しいけど…
望月のこと、そういうふうに見たことない」
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私の一世一代の大告白は、
ものの見事に、玉砕したのだった。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時