27.勝負 ページ27
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「秋大の覇者は市大三高かー」
『いーよねー甲子園』
新チームになり、迎えた秋大会、
薬師高校、1回戦負け。
「先輩達の抜けた穴は大きかったよなー」
『真中さんのスライダーも、キレっキレだったしね』
すっかり冬。
ウィンドブレーカーを着込んだ私と真田。
練習前にグラウンドを、早めに着いた2人で整備していると、
見知った声が響いた。
「おーーーいモッチーーーー!!!」
『…へっ』
真田と一緒に、グラウンドの入り口を振り返る。
へらへら歩くオジサンと、その影に隠れるようにして歩いてくる男の子。
「よ、モッチー。ついにこの俺が来てやったぜ」
『…待ちくたびれましたよ』
ニヤッと笑う私。
真田がどちらさん?と私を見た。
雷蔵さんが真田の方を見る。
「お前、ピッチャーだろ?たしか名前はーー」
「真田です。真田俊平」
「そうそう真田。お前、今すぐ肩つくれ」
「え?」
『…何する気?』
雷蔵さんが、雷市に金属バットを手渡す。
「俺ぁ、轟雷蔵。こいつは自慢の息子の雷市だ」
「はぁ…」
「真田、こいつと勝負してみろ」
雷市は、金属バットを両手で握ると、
「勝負………………早く!!!」
と、その大きな瞳をぎらつかせた。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時