26.恩着 ページ26
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目の前で寮の扉がしまる。
鳴に追い出された私は、一瞬呆然とした後、
すぐにこの幼なじみに向かって叫んだ。
『ちょっと!!なんで追い出すの?!』
「うるせぇよバーカ!!さっさと帰れデブ!」
『デ…、、心配で来てくれた人にそんな言い方はないんじゃないの?!』
「はい恩着せがましい!この俺に心配がいるかよハゲ!さっさと帰れ!」
『っ、……心配して損した!!!鳴のハゲ!!!!好きにすれば!!!!』
かばんを持ってさっさと寮を後にする。
何よ、もうーーーーー
グラウンドの前を、すり減ったローファーでどすどす歩く。
ーーー『顔色、悪いよ?』
あの時の鳴の顔が、目に焼きついて離れない。
やってしまった、みたいな、そんな顔を、
一瞬だけ鳴はした。
続いて感じるのは頬の熱さ。
『鳴って、あんなに背、高かったっけ……』
抱きしめられるの、2回目?
あれれ?モテ期?あれれ?
『まー鳴に限ってそんなことありえないけどー』
まあでも、元気出たなら、よかった。
敵に強くいてもらえなきゃ、張合いがないもんね!
『さーもうすぐ秋大だ!!!』
秋が過ぎて、冬が終われば、
あの親子が、うちの高校にやってくる。
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作者名:すた | 作者ホームページ:
作成日時:2015年12月6日 0時