どこにも行けない憎しみを ページ6
.
.
しかし、受け入れなくてはならない現実は、やがて俺を襲う。
途絶えた手紙が何よりの証拠であった。もう、俺は二度と、Aには会えない。
(……A……っ！)
A。何故死んだ。罪のないお前が、何故。
仕事にも手がつかないほど、取り乱していた。……隣には、幸村がいた。
「真田……」
「幸村っ……何故、何故Aがっ……！」
何がお前を死なせた。何がお前を傷つけた。
何が、何が……
「……真田。Aが恋しいかい。」
「……！」
Aを、妹を、死なせた相手が憎いかい。
幸村の声が脳裏に響く。
「……ああ……」
だが、どこにこの怒りを、この憎しみをぶつければいい？
一体誰へ、何処へ。
「……俺も憎いよ。Aも大切な妹だ……憎い。憎い……露西亜が。」
「！？」
露西亜……！？
「幸村！何を……」
「だってその通りだろう。」
他人に聞こえぬように、幸村が声を縮める。
「自分の国民放っておいたからこうなったんだろう。……止めていれば、Aは死ななかった。子供の責任を取るのは、親の役目……そうだろう？」
「……だが……露西亜など……」
「忘れたのかい、真田。俺たちは軍人だよ。」
うまくいけば、敵討ちと一緒に国にも貢献できる。
露西亜なんて大国を破れば、我が国も大した業績を手に入れられるんだよ。
「一石二鳥、だろ？」
離れた幸村は、笑っていた。気持ち悪いほど、静かに。穏やかに。
「……」
露西亜……
……ああ。そうか。そうだな。
Aが死んだのは、異人のせい。奴らが暴れたのは、その国のせい。
ならば、俺は。
「……そうだな、幸村。」
その囁きを、啓示として受け入れようか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「アニメ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鳴菜瀬(プロフ) - 幻想曲さん» そうだね！ (2016年1月9日 18時) (
レス) id: 75733470f8 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» oh......じゃあここで、ということになるかね？ (2016年1月9日 18時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - 幻想曲さん» あっ私Twitterやって無いんだった← (2016年1月9日 17時) (レス) id: 75733470f8 (このIDを非表示/違反報告)
幻想曲(プロフ) - 鳴菜瀬さん» 代わりと言ったらなんだけど、Twitterならやってるよ！……あ、ダメだ今ツイ禁してるんだった…… (2016年1月9日 17時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
鳴菜瀬(プロフ) - 幻想曲さん» (´・ω・｀)そっかーそれなら仕方ないわね（笑）私も前まで繋げなかったんだよー(笑) (2016年1月9日 17時) (レス) id: 75733470f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：幻想曲 | 作者ホームページ：http://uranai.amanoboru
作成日時：2016年1月8日 1時
