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カッコつけ ページ37

男がこちらに向かってくるのと同時、私は固く目を閉じて刀を真横に振った。
勝算があるわけでも、マンガのように奇跡的に相手を斬り伏せるとも思っちゃいない。

ただひたすら、ヤケクソ。



──どれくらい経ったのだろう。

静かだ。

斬り伏せた感覚も、助かった実感もない。

・・・あれ、私、死んだ?
もし死んだのだとしたら、思ったよりは楽に死ねたな、なんて場違いな感想。


「やるじゃん」


・・・ん?

場違いな自分の感想に続いて聞こえた、場違いな声に、そっと目を開ける。


「・・・どうなってんの」


目の前には、確かに先ほどまで私を嘲笑っていた男が倒れていて。


「お前がやったんだろ」

「・・・いやいやいや・・・!私じゃない!」


おかしい、そんなマンガのような奇跡的展開があるわけない。

それに。


「・・・なんで・・・ここにいるの」


どうして、ここに。
届くはずなんてなかった願いを、叶えに来たとでも言うのか。

私が「助けて」なんて言ったから?


「・・・なんで、万事屋がここに」

「これ、忘れてったんだよ」

「メガネ?」


万事屋の持つそれを見て思い出す。
猿飛さんは「メガネを失くした」と言っていたんじゃなかったか。


「まさかそれ届けに?」

「メガネが無きゃ見えねェくせに、お前みたいなハンデ背負ってたら余計マズイかと思って」

「誰がハンデだって?」


ムカつく。その一言に尽きる。

だから私は、見なかったことにしたんだ。
万事屋の持つ木刀に付着したままの血を──。

・・・俺が助けてやったんだ、くらい言えば良いものを。


「・・・カッコつけんなっての」

「あ?」

「・・・なんでもない」


居心地の悪さに、ついいつも通りの喧嘩腰。
聞こえていなかったのなら、セーフってことで。


「っていうか!猿飛さん!」

「今度はなに」

「連れていかれたの!助けなきゃ!」


捲し立てるように万事屋に詰め寄れば、何故だか呆れたような反応を返される。


「終わったよ」

「・・・終わった?」

「目ェ覚ました瞬間からウザかったから、思わず放り投げた」

「は?」


嫌そうに顔を歪めて話す万事屋だが、ツッコみたいところが多々。


「無事、ってことですか」

「少なくとも元気にストーカー継続してた」

「つまり先に猿飛さんを助けたんですね」


結局万事屋の助けに飛び付いた猿飛さんをまた放り投げたってことか。それなら良かった。

そんな思いで口にした言葉だったのに。


「何だよそれ。嫉妬?」

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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時

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