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濡れ衣 ページ38

「何だよそれ。嫉妬?」


・・・は?
思わず顔が引きつる。


「・・・どこをどう解釈したらそうなります?」

「いやそれってあれだろ。先に私の方に来て欲しかった、みたいな。」

「・・・おめでたい思考してますね」


呆れた。まさか私が本当にそんなこと思っているとは考えていないだろうに。

猿飛さんから仕事を持ち掛けられた当初の万事屋の予想通り、私が窮地に立たされたことに対する嫌味か。


「ま、無事で良かったな」

「思ってないくせに」

「決めつけんじゃねェよ」

「じゃあ本心だとでも?」

「・・・さぁな」


いつもの万事屋らしくない返しに、少しの違和感。
違和感の正体を掴もうと脳をフルに使って、それでも万事屋の真意は見えない。

・・・猿飛さんにこの仕事を紹介されたのは万事屋が仲介みたいなもんだし。
もしかしたら少し気にかけていたのだろうか。


「・・・アンタのせいじゃないから、別に。」

「お前こそどこをどう解釈したらそんな発言出てくんだよ」

「万事屋ってお人好しなのかと思って。それならなんか色々、辻褄が合うし?」


寝所を失った私を迎え入れたり、こうしてここに現れてみたり。
そのくせ自分が助けたとは言わず、私がやったように取り繕って。

それら全部をひっくるめた表現は果たしてお人好し、で合っているのか。
お人好しの言葉だけでは表面的すぎる気がして、それが正解だとは思えない。


「この仕事を受けたのは私。だから、アンタには関係ない。」

「・・・なぁ、1つ教えといてやろうか」

「なにを」

「俺、誰にでも手ェ貸すほど出来た人間じゃねェんだわ」

「・・・つまり?」

「つまりお前はラッキーなわけ。幸運には甘えといた方が得だぞ。」


そう言って妙に意味深に笑う銀髪から、目を離せなくなってしまったのは何故だろう。


「・・・帰る」


とにかくこの場を終わらせたくて、私は乱暴に口を開いた。

そうしていつもの日常に戻れる・・・はずだったのに。


「いや、帰れねェけど」

「はい?」

「目の前で人が死んでるのに帰れる訳ねェだろ、バカなのお前?」


・・・・・・人が、死んでるのに・・・?
今コイツはそう言ったか。


「え、これ・・・死んでるの?」

「見りゃ分かんだろ。殺人って懲役何年になるんだろうな、お疲れさん。」


その言葉で合点がいく。
万事屋が私に「お前がやったんだろ」と言ったのはカッコつけでもなんでもなくて。


「殺人の濡れ衣着せる気か!」

兄妹→←カッコつけ



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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時

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