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走馬灯 ページ36

「アンタは、どう楽しませてくれる?」


楽しませる?そんなの御免だ。
私の今日の仕事は囮捜査だったはずで、間違ってもこんな気持ちの悪い男をもてなす仕事なんて引き受けた覚えはない。


「あの・・・」

「なんだ?」

「彼女・・・猿飛さんをどうするつもりですか?」

「ほお、この状況で他人の心配とは。度胸だけは認めてやる。」

「だったら、私の度胸に免じて・・・猿飛さんに酷いことはしないでいただけると嬉しいんですけど・・・」


そこまで親しくしていたわけではないにせよ、やはり知り合いが痛い目を見るのは良い気分のするものではないし。

いっそこのまま解放してくれれば良いのに、なんて望みの薄すぎる願い。

目の前にしゃがみこんで私と視線を合わせた男は、半笑いで言い放った。


「選択肢をやる。」

「選択肢、ですか」

「今ここでお前が俺を殺すか。俺がお前を殺すか。」

「は?」


この状況で選択肢と言われれば、まず予想するのは猿飛さんを助けるか自分が助かるか、のような2択だ。
どこがどうなったら私とこの男の殺し合いなんて展開になるのか。


「あの始末屋と一緒にいたくらいだ。それなりに強いんだろう?楽しませろよ。」


・・・いや・・・それ勘違い。

私が猿飛さんと一緒にいたのは、別に腕が立つとかそんなのではなくて。


「バイト、なんだけど」

「は?」

「だから、その・・・囮捜査のバイト引き受けただけなので・・・」

「つくならもう少しマシな嘘をつきな」


それはそれは楽しそうに、私を縛っていたロープが外されて。
カラン、と音を立てて目の前に転がされたそれは、触れたこともない刀。

・・・どうしよう、本気だ。


「ほら、構えろよ」


こんなことになるなら、いっそ大人しく殺されておけば良かったんじゃないか。
わざわざ結果の分かっている殺し合いを演じてからお陀仏だなんて、冗談じゃない。

もはやヤケクソで刀を拾い上げれば、思ったよりもずっしりとした重み。

十四郎はいつもこれを握っているのか、いつもこんな風に死と隣り合わせで生きているのか、と今更ながら尊敬の念が湧く。


「抜けよ」


男の言葉に従って鞘から抜いた銀色。
その色に何故か腹立たしい男の顔を思い出して、一種の走馬灯なんじゃないかとさえ思った。


「・・・・・・助けてよ」


思わず溢れた呟きは誰に届くこともなく。

ねぇ・・・アンタは万事屋でしょう?
なんでもしてくれるんでしょう?

せめて、奇跡を──。

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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時

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