バカ ページ35
「猿飛さん」
「何かしら」
「今、どういう状況です?」
「縛られてるわね。」
「・・・ですよね。・・・・・・え?何故?」
本当に、何故。
「ちょっと!縛り方が甘いんじゃない!?やるなら徹底的にやりなさいよ!中途半端なプレイね!」
この状況でM気質を発揮するとは。もはや『彼女に頼る』という選択は絶望的だ。
──遡ること1時間前──
事前に今回のターゲットが現れる場所を特定していた猿飛さんに連れられ、その場に着いたまでは良かった。
よくドラマであるような、倉庫が建ち並ぶ港。
ターゲットは貿易商を営む若い男。見せてもらった写真で顔は把握している。
あとは私が貿易関係者を装って、彼に接触するだけ。
しかし・・・。
「入口が見当たらないわね」
「そうですね、どこも封鎖されているし」
その場所から見える元々入口だったのであろう数ヵ所は、板が打ち付けられ、立ち入り禁止のテープ。
そのテープが自宅をバズーカ破壊されたときと同じもので、ぶり返した少しの怒りを深呼吸で鎮めた。
「あの人に聞いてみましょう」
「え、もしターゲットだったらどうするんですか!」
「あなたバカね。どう見ても女性なのに。」
「いやでも体つきが女性じゃない気が・・・って!あの!ちょっと・・・!」
制止も聞かず、その人物に走り寄って行った猿飛さん。
そして・・・それが仇となり現在に至る。バカはどっちだ。
「・・・何がどうなれば、ターゲット本人に倉庫への入り方を聞くなんてことになるんですか」
「ロン毛なんて卑怯よね、女性にしか見えなかったもの。でも途中で気付いたじゃない。」
「気付くのがあの近さじゃ手遅れです!相手は猿飛さんの顔を知ってるって、自分でも言ってたじゃないですか!そりゃこうなりますよ!」
彼女は『メガネを失くした』なんて弁解していたが、私からすればただの言い訳でしかない。
「おいテメェらさっきからうるせぇぞ!状況分かってんのか!」
「分かってないのはあなたの方よ!縛り方が緩いって言ってるのにまだ分からないの!?」
「ふざけてんのか!・・・いい加減に黙れ」
男が猿飛さんのお腹に蹴りを入れた。
「猿飛さん!」
ウッ、と低い声を最後に意識を手放した猿飛さんが、男の仲間に引きずられて行く。
「彼女をどうするの!?」
「・・・可哀想になぁ。アンタは、どう楽しませてくれる?」
男の笑みに、鳥肌がたった。
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ξεグリムэЭ(プロフ) - 白桜姫さん» コメントありがとうございます!ただいま編集作業行なっておりますので、公開まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m (2018年11月12日 3時) (レス) id: 0498653311 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです (2018年11月9日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ξεグリムэЗ | 作成日時:2018年5月15日 5時