顔が良いって"損"【青葉城西】

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「何だ、遅かったな？」



家に帰れば、父がいた

父がいることはかなり珍しくて、少しだけ驚いた



「おかえりなさい。委員会が長引いちゃって…」

「そうか。飯はまだだろう？」



険しい顔をして、私を椅子に勧める父

夕飯を誰かと食べるのは、いつぶりだろうか



「お父さんが作ったの？」

「……そうだが。食えないものではなかったぞ」



荷物を下ろし、ブレザーを脱いでから席に腰を下ろす

見た目は禍々しいが、味はフツウ

父が作る料理はいつもそうだったな

そして、父が料理を作るのは、
私に何か伝えたいことがあるから



「学校はどうなんだ」

「大丈夫、楽しいよ」



そうか、と箸を置いた父

やはり今回もだったか、と思いながら私も箸を置いて父を見る



「海外出張が決まった」



期間は3年、と付け加えた父

酷く申し訳なさそうな顔して此方を伺っているものだから、
少し可笑しくて、つい笑ってしまった



「大丈夫だよ。お父さん、私のこといくつだと思ってるの？」

「18になるな、あと一年で」



そういって仏壇の方へ顔を向けた父



「お母さんが亡くなって、もう10年になるんだね」



ああ、と湿っぽい声を絞り出した父

泣き虫なのは、ずっと変わらないね



「Aが、日に日に母さんそっくりになっていくよ」



赤い目を細めて、父が此方に微笑んだ

そうだ、この顔は、
大好きな母から貰ったものだ



「お母さん、美人だったから嬉しいよ」





＿＿＿私の、希望にするんだ

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