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訓練場の前で、見覚えのある姿を見つけた。
左手に拳銃を持ち、その場に立ちすくんでいる。
「和！」
駆け寄った松本が息を呑んだ。
少し遅れた櫻井も、目の前の光景に呆然とした。
二宮の目の前で倒れている人。
赤く染まった服。
二宮を振り返れば、右手で左腹を押さえている。
指の隙間から見える上着が不自然に赤い。
「和、大丈夫か」
折りたたみナイフを取り出して自分の服を裂き、止血を始めた松本。
二宮は一言も発しない。
ただ、どこかぼんやりとした様子で宙を眺めている。
『翔ちゃん、聞こえる？ どう？』
通信機から相葉の声が流れたため、櫻井が通信機を手にしてその場から少し離れる。
二宮の耳が、ぴくりと動いた。
「見つけた。怪我してるから病院に連絡してくれるとありがたい。怪我人二人。結構酷いから」
『分かった。場所は？』
「訓練場前」
『おっけ』
通信機をしまい、櫻井は倒れた人のそばにしゃがむ。
撃たれているのは右胸、そしてこの出血量。
銃声からの経過時間から考えても、生存確率はかなり低かった。
それでも、まだ呼吸をしていた。
「どっかで見たことあるような」
服装から見ても、部隊の隊員であることは間違いない。
ただ、雹隊の人間ではなかった。
「こいつ」
二宮がポツリと言った。
「俺の昔の班員」
その言葉で、櫻井も松本も合点がいった。
霰隊の隊員だ。
「わざわざ雹隊の生活圏内に来るなんて」
二宮のその言葉に、荒い呼吸をしながらも相手の唇が動いた。
ほとんど声になっていない中、近くにいた櫻井は息の音と唇で何を言ったのか分かった。
『二宮、許さない』
無言のまま見下ろした櫻井。
生存確率が低いとは言え、できることはあった。
止血だけでもすることはできた。
「お前はそんなこと言える立場なのかよ」
ムカついた。
血のついた、床に転がっている折りたたみナイフは、二宮のものではない。
二宮を刺したのは、こいつだ。
何があったのかは分からない。
どちらが悪いのかも分からない。
それでも非戦闘員である二宮のことを刺した、この隊員が悪いと判断されるのは分かっていた。
顔を歪めた隊員は、『死ねばいいのに』と唇を動かして、身体の力を抜いた。
限界だったのだろう。
そのまま呼吸が浅くなり、呼吸は止まった。
「アホなやつだ」
そう呟いた櫻井は、隊員から目をそらした。
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芙咲子(プロフ) - 合格おめでとうございます♪うちの娘と同い年ですね（笑）ホント決まって良かった！おめでとうございます！ (2020年3月9日 16時) (
レス) id: 588e77ad1d (このIDを非表示/違反報告)
翠霞(プロフ) - 西野えみぃ☆さん» ありがとうございます！ゆっくり更新していくので待っていてください。笑 (2020年3月9日 13時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
西野えみぃ☆(プロフ) - 合格おめでとうございます！！同じ年だと言うことに驚きました！！小説の更新気長に心待ちにしています！！受験おつかれ様！！ (2020年3月9日 1時) (レス) id: 94d9a88e4f (このIDを非表示/違反報告)
翠霞(プロフ) - 芙咲子さん» ありがとうございます！世界観が好きという言葉、とても嬉しいです。のんびりゆっくりにはなりますが、これからも書き続けたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2019年12月24日 13時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
翠霞(プロフ) - orangeさん» ありがとうございます！いえいえ、コメントをいただけるだけでもとても嬉しいです。これからもよろしくお願いします。 (2019年12月24日 13時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：翠霞チサ
| 作成日時：2019年1月7日 16時
