28.只のキス ページ29
＊一松＊
((ﾁｭ
「からっ、カラ松、お前…、
何の…つもりだよ
いらねえって言ってんだろ
同情なんて！
それともキスしてやったんだから
許してって！？
ふざけんなっっ！
お前は今まで俺が、
どんな想いで過ごして____っ、」
((ﾎﾟﾛｯ
「…え、えぇ……何で泣いてんの？」
「……ぐすっ、
俺の、幸せを、勝手に
決めないでくれ。
もしもお前が俺を
からかっているのなら
一発殴ってやろうって
考えてた。
……兄として。
でも嘘じゃないんだろう？
8年なんて長すぎる。
お前は大事な兄弟(ブラザー)の
一人だ。
それはこれからも変わらない。
だけど今は兄としてじゃなく
「松野カラ松」として、
お前に伝えたい。
俺も一松がずっと好きだった。
あぁ！正確には違うな！
今、好きだったんだと、
気づいたんだ。
情けないよな。
普段から愛を謳ってる癖に
本物の愛には気づけない。
高校の頃___、いや、もっと前から
かもしれないな。
真面目で気が遣えて、
人の気持ちを敏感に感じ取って
優しくていじらしいお前が
良かった。
俺を見てくれる瞳が好きだった。
きっとまだ、弟と、してな。
突然突き放されたときは正直
驚いたし、理由もわからない。
でもそれは、一松の成長だと、
悲しかったけど、
嬉しかったんだ。
だけどこのまま避けられて
過呼吸を放って置いたままも嫌だった。
それでお前を追ってきたら
声が聞こえたんだ。
今までのことが走馬灯のように
駆け巡ったよ。
あれもこれもお前が好きで
やっていたと分かった途端
心臓が焼けるように
熱くなった。
…………ありがとう、一松。
お前のお陰で気づけたよ。
俺も、お前を愛している！」
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