D.gray-manー2人で歩く道 (ページ39)

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番外編＊熱ページ39

(ガチャッ)

ア｢Aっ！！｣

彼が急いで駆け込んで来たのは医療室のある個室。
部屋のベッドには、毛布を口の辺りまでかけ、額に冷やされたタオルを当てられて眠るAがいた。

彼の声に気づいたのか、すぐに彼女は瞳を開く。
息を切らして心配そうな面持ちで見つめてくるアレンに向けた目は、潤んでおり苦しそうでもあった。

『あ…アレンくん…』

彼はそのまま、ベッドの傍の椅子に座った。

ア｢話は全部聞きました。任務の時に大雨にあったって…。思っていたより熱重そうですね…｣

『ありがとう…任務帰りなのに駆けつけてくれて』

ア｢そんなこと気にしないでください。…それより、何か欲しいものありますか？喉乾いてません？｣

『ん…今は大丈夫。アレンくんの顔みたら…楽になった気がする』

ア｢…っ！！｣

笑顔でそんなことを言われたものだから、嬉しさのあまり彼も顔を赤くしてしまう。

『…アレンくんも、顔赤いよ…移しちゃったかな』

ア｢大丈夫です…Aが元気になるのなら、むしろ移してくれていいですよ｣

『…優しいなあ…』

熱のおかげで、いつも以上にゆっくりと喋る彼女がまた新鮮で、愛おしく思えてしまう。
赤くなっている頬を、彼の右手が優しく包み込む。

『…ん…冷たくて気持ちいいかも…』

ア｢ふふっ。…とにかく今は、ゆっくり休んで下さい。やっぱり元気なAが1番ですから！｣

『うん…！アレンくん、ずっと傍にいてくれる…？』

ア｢勿論ですよ。次の任務もまだ知らされていないので、しばらくはいますから｣

頬に当てていた手が、今度は彼女の左手を包み込む。

『ありがとう。…不思議だなあ。アレンくんが来てくれただけで、凄く安心しちゃった。さっきまで苦しい中1人で寂しかったから…尚更』

ア｢…｣

『やっぱり私…アレンくん大好きなんだなあって…思っちゃったな…。

こんなにカッコよくて…優しくて…いつも私のこと沢山考えてくれてて…アレンくんみたいな素敵な人なんて…他に…いないよ…

私…幸せ者だなあ…熱出てても苦しくても…アレンくんが傍にいてくれたら…幸せだも、ん…』

ア｢…っ…！｣

熱のせいなのか、いつも以上に本音をつらつらと口にする彼女の言葉の威力は計り知れず。

溢れんばかりの愛を口にされ、傍にいる彼はキャパオーバーになり、ベッドに顔を埋めてぷるぷる震えていた。

そんな彼の様子に気づくこともなく、Aはいつの間にか寝息をたてていた。