劣化コピー【瀬名泉】SECOND

壊れた『王さま』 76 ページ38

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Aが消えた。


だったら…おれが曲を創れば、Aが戻ってきてくれるんじゃないか。


セナも、リッツもナルも、スオ〜だって……哀しい顔してた。


おれはあいつらの哀しい顔は見たくないから、その一心で曲を創ろうとした。


でもいつもみたいに創れなくて、失敗、また失敗。


気づいたらルカたんにまで心配されてた。


でも”ハッピーエンド”にするために、おれは今日もペンを取る。




＊




｢お！いい感じにかけたぞ！なぁ！｣





＿＿A





そう……言おうと思ったけど、Aはいなくて。




いつもピアノの椅子に座っているお前が。



おれの楽譜を見て｢音符がぎゅうぎゅうですね｣と笑うお前が。



先輩って呼ぶなって言ってるのに、間違えて｢月永先輩｣って呼ぶお前が。



たまにちゃんと｢れおくん｣と呼んでくれるお前が。



セナの面影を感じるお前が。



おれの曲を弾いてくれるお前が。







＿＿おれの曲を、好きだと言ってくれるお前が。






いないのは、こんなにも寂しいことなのか。

心にぽっかりと穴が空いた気分だ。






大好きだ、愛してる。






だから…また、いつものように音楽室で笑ってくれ。



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