嫌いな人【月永レオ】

ツインテールの女の子 ページ21

佐藤さんと連絡先を交換したものの、あれから1週間ほどあの人に会わない日々が続いていた。




別に、会わないなら会わないでいいのだが。




最後にあんな別れ方をしたら次に会った時、何を言われるかわからないからだ。




佐藤さんに言った通り、あの後に1度や2度、見かけたのは事実だが。




私はそっと通り過ぎようとしているのに、あの人は毎回私を目ざとく見つけて、話しかけようとしたりもした。




私は、全力で逃げてしまったけど。




あの人が、あの人といる時の自分がよくわからなくて怖かった。



自分の知らない何かが迫って来そうで。




でも、このままじゃ佐藤さんと連絡先を交換した意味が……





そんなことをぼーと考えて歩いていると、走ってきた人とぶつかってしまった。

気をつけないと。



その時、



ぽとり、



ふと地面を見ると見慣れない手帳がひとつ。


今ぶつかった人が落としてしまったらしい。




振り返ると、オレンジのツインテールを揺らして駆けていく女の子の姿。




落としましたよ、と人の往来のある所で叫べるほど私は強くない。




その手帳の表紙に目を落としてみれば『お兄ちゃんへ』と可愛らしい文字で書かれている。



……兄への贈り物、か。




仕方がない。




私は、そのツインテールが人混みによって見えなくなる前に駆け出した。

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