【あんスタ】何が不満か言ってみろ【巴日和】 (ページ1)

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もしも時間が戻せるのなら、

私はあいつと出会う前に戻りたい。

戻って、あいつの目に触れない場所に移動して
『出会わなかったことにしたい。』

____

時は戻り、私とあいつが出会った大雨の日。
手を引かれてあいつが住んでいる寮に半強制的に連れてこられた＿＿＿

「やあブラッディメアリー、ただいま！！
ぼくがいなくて寂しかったね！後でたくさん遊んであげるねっ！」

部屋に入るなり小型犬がやつの足元ではしゃぎ
それに応えるように抱きかかえて撫で回す。

「おひいさん、遅かったですね。
っと、後ろの人は？」

そう言葉にしてから眉間にシワを寄せ、
怪訝そうな顔。

「まさかとは思いますけど、
その人も『拾ってきた』んすか？」

「うーんとねっ、ジュンくん話は後だよ。
とりあえずこの子をお風呂に入れてあげてほしいねっ！

服は…サイズ的にジュンくんの貸してあげて？」

「あ…そうっすよね。
すみません、気が回らず。
案内するからこっちきて。」

「い、いや、私は…」

「うんうん、そんな格好でお家に帰すわけにも行かないからね？
取って食ったりなんてしないから安心して入ってくるといいね。」

そう半ば無理やり背中を押され、
YES以外の選択肢がなくなった。

「こっち」

「…」

「石鹸とかはあるもの適当に使っていいから。
あと着替えは今持ってくるから少し待ってください。」

目付きが少し鋭く歓迎されていないとかと思えば、
見た目より全然優しいじゃん…と呆気に取られた。

「そういえば雨よけでフード被ってたの忘れてた。他人の家で失礼だったか…」

風呂に入るわけだし今からでも遅くないかと、
申し訳程度に濡れて黒に深みが増したパーカーのフードだけを外す。

「お待たせしました。
あがったらこれ着てくださいねぇ、

…っとりあえずまた後で。」

ぱたりと脱衣室の扉が閉じられ鏡を見ると、
不格好に貼られた湿布や手当したガーゼが湿気で剥がれて傷が露出している事に気付いて
そっと手を添えた。

ああ、無駄な気を使わせるなら作法なんか気にしないんだったなと感じる。

「めんどくさ」

小さく呟いた声は自分の耳にだけ入りすぐ消えた。
過ぎたことはしょうがない。そう思って淡々と濡れて気持ち悪くなったパーカーとスキニーを脱いでく。

そして、へばりついた長い髪をひと払いして溜息をこぼした。