第二楽章 思い出にデクレッシェンド ページ6
・・・
「えーち、だいじょうぶ?」
「A……うん、ぼくはだいじょうぶ。だから、そんなかなしいかお、しないで……?」
「ほんとに、だいじょうぶ?わたし、もうすぐおべんきょうのじかんだからいかなきゃ。……ちゃんといいこにねててね?えーち」
「うん。がんばって、A……」
・・・
「ん、んん……」
なんだか、懐かしい夢を見ていた気がしたんだけど……忘れちゃった。
夢ってそういうものだよね、だから幻想的なのかもしれないけど。
朝食を済ませて、学院に登校する。
もちろん、英智も一緒に。
「あと二週間だね〜……楽しみだなぁ」
「僕も楽しみだよ、有名なバンドの演奏で歌えるなんて」
「もう、私だからよかったものの、他の子だったらプレッシャー感じちゃうかもしれないでしょ〜?」
「ふふ、Aだから言ったんだよ」
そういうこと、さらっと言っちゃう辺りアイドルだよね。
英智だって忙しいはずなのに、涼しい顔で私たちとの演奏会のことを考えてくれてるのが嬉しいような、心配なような……。
昔から体の弱い弟をもっているからか、心配性に育った私。
英智のことが気がかりでならない。
「そういえば、アンコールの曲。いい曲だね」
「ふふ、気に入ってもらえて何よりだよ。吹奏楽アレンジもなかなかいい感じだったよね」
「そうそう!途中私がソロするから、そこもお楽しみに〜♪」
無事決まったアンコールの曲では、間奏にソロがあって、私が担当することになった。
もう一つ、フルートのソロは杏奈が担当することで決定した。
キラキラしたメロディで、私のお気に入り。
杏奈も嬉しそうにしていた。
「そう、楽しみにしてるよ……あと、期待も」
「ふふん、まっかせなさい!私の演奏に感動して、パフォーマンスを疎かにしないでね?」
「それはこっちの台詞だよ、A?」
わいわいと話しているうちに到着して、普通科の校門前でお別れ。
アイドル科は一番奥にあるため、いつもここで解散することにしている。
「じゃ、お互い頑張ろうね、英智」
「うん、A」
校門をくぐり、私の愛する校舎を見上げる。
もうすぐ私は卒業、学生としてここにいられるのはあとどれくらいだろうか。
空色のブレザーの海の中に身を滑らせながら、そんなことを考えていた。
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ホッチキス(プロフ) - ゆゆゆさん» 本当にラッキー(^_−)−☆ですね!これからも応援しています! (2022年5月25日 21時) (レス) id: b36c03acb0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - ホッチキスさん» ありがとうございます、最高とかめちゃくちゃ嬉しいです…!全然アイドル出てこなかったのに推しが出ていたとはなんとラッキー!!(?)私もニヤニヤが止まりません。こちらにもコメントして下さりありがとうございました!!! (2022年5月24日 18時) (レス) id: 6c5dc33c86 (このIDを非表示/違反報告)
ホッチキス(プロフ) - 双子設定最高でした!すごく面白かったです!私の推しの渉も出番をいただいて、、、ニヤニヤがとまらないっす! (2022年5月24日 18時) (レス) @page15 id: b36c03acb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:箸レーゼ | 作成日時:2022年5月4日 18時