【あんスタ】進軍する騎士と爛漫の姫君(1)

作戦会議/1 ページ29

「ぷ、セッちゃん先輩、ふふ……ぶふっ、もう無理！なんですかそのアイドルスマイル、ふふふ」

日々樹先輩と別れた後、会議のためにスタジオに来たら信じられないものを見た。そう、それは瀬名先輩の優しげな笑み。それで「おかえり、A」とかいってくるもんだから、笑うしかないでしょ。

凛月先輩なんか、さっきから寝床の上で震えている。鳴上先輩によると、笑いすぎで起きられなくなったらしい。

「ハァ？なんで笑うわけ、チョーうざぁい！」

あ、もどった。

「この10億の価値がある顔を持つ俺が笑いかけてあげてるの。喜ばないほうがおかしいでしょお？」

「セッちゃん先輩って脳内御花畑ですよね！」

即座に返すと、瀬名先輩は無言でティッシュの箱を投げてきた。暴力反対。

「というか、正直にいいますけど。セッちゃん先輩の顔は綺麗ですよ？けど、滲み出る性格の悪ー……すみません撤回します。私たちはセッちゃん先輩の本性を知ってるので、急にそんな慈愛に満ちた笑顔を向けられたら爆笑します」

「本当に正直にいいやがったこのガキ」

ファンの子とかは喜ぶんだろうけどさぁ…。こう、なんか違うんだよね。

そう素直に口に出すと、さっきまで笑い死んでいた凛月先輩が起き上がった。何故か異様にニヤニヤしている。

「そうそう、セッちゃんの本気はそんなもんじゃないでしょ〜？もっと横に目を細めて、口元はしっかり結んでさぁ。あ、駄目駄目。笑いすぎ、口角はもっと下げて」

「指図しないでよねぇ。….…こう？」

「泉ちゃん、今すごいチベットスナギツネみたいな顔になってるわよ」

「いえーい、大成功！セッちゃん顔おもしろーい、本当最高…♪」

凛月先輩がいい笑顔で言うものだから、腹筋が辛い。瀬名先輩が般若みたいな顔で凛月先輩の胸倉を掴むのを、鳴上先輩が爆笑して見ていた。あ、リッツ先輩。今撮った写真送ってください。校内SNSのトプ画にするから。

「あれ、そういえばなるお姉ちゃん。リーダーさんと司くんは？」

私は日々樹先輩との一件があったから来るのが遅くなったはずなのに、まだ全員が揃っていないことに気づいた。月永先輩はいつものことだからいいとして、司くんは？

「ああ。王さまは珍しく「遅くなる」って連絡が入ってたわァ。理由は、知らないけど。でも変ね、司ちゃんからは何も……」





「すみません、皆様！帰りのhomeroomが思ったより長引いて……もぐもぐっ、遅れてしまいまふた！！」


まって、君何食べてるの？？

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