トマトジュースと白いシャツ/2 ページ3
真っ白なカッターシャツを、じわじわと赤が染め上げていく。
やばい、と頭の中で警報が鳴り響いた。
私の前方不注意で、知らない人のカッターシャツを汚してしまった。どんな人だろう、と青ざめる顔を恐る恐る持ち上げる。そして、私は一瞬息が止まった。
綺麗な人、というのが第一印象。そして第二印象が、すごい睨まれているということだ。
そして、今に至る。
＿＿＿＿どうしよう。その一言が、さっきからグルグルと頭の中で渦巻いていた。
こういう場合はクリーニング代を弁償するのが筋なのだろうけど、あいにく私は今1円も持ち合わせがない。家に帰れるものならかえってお金を持ってきたいのだけれど、果たしてこの人が帰してくれるだろうか。
ゾッとするほど端正な顔立ちをした彼は、トマトジュースの紙パックを片手に私を見下ろしている。その人間離れした赤い瞳は、魔物を思わせる眼光で私を睨みつけていた。身長が高いから、威圧感も異常だ。
「おいっつってんだろ、聞こえね〜の？」
と、腰を折った彼は私の顔を覗き込んできた。急に話しかけられて、びっくりして私は後ずさりをしてしまう。
あの、今お金ないんです。
ちゃんとクリーニング代は弁償します。
だから、許してください。
その三文が口から出なくて、金魚みたいに口がパクパクと動いた。それを訝しげに見た彼は、はぁっと長い溜息を吐く。
「ぁ、あ、の、ごめ、なさ…………」
「あ？」
不機嫌そうに放たれた一言に、怯んで謝罪の言葉を飲み込んでしまった。
「なんて？聞こえね〜、もっかい言って」
あっ、絶対怒ってる。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
だってこの人、容姿は人形みたいに美しいのだけど、オーラというか雰囲気が怖いのだ。人を数人ぐらい殺してそうな目をしてる。
シャツについたトマトジュースだって、さっき血みたいだなんて思ったけど、状況を知らない人がみたら本物の血だと思うだろう。
＿＿＿＿＿＿殺されるか、クリーニング代と称して500万ぐらいとられるか、それか……。
「……？具合悪いのか？」
お〜い、と目の前で手を振られる。また近くに来てることにびっくりして、私は再び後ずさりをして＿＿＿＿そのまま全力ダッシュ、今まで出したことないようなスピードで私は逃げた。
後ろから呼ぶ声が聞こえたけど、耳を塞いで走る。ごめんなさい、ともう一度、口の中で呟いた。
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まめだいふくもち(プロフ) - こたつさん» こたつさん、ご指摘誠にありがとうございます。漫画などでよく見る表現だったのですが、なにか事件が関連していたのですね…。勉強になりました。つきましては、その表現を修正させていただきます。コメントありがとうございました！ (2017年10月29日 15時) (
レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - ドラム缶に東京湾というワードは某事件を連想させるので修正した方が良いのではないでしょうか？ (2017年10月29日 9時) (レス) id: ae4fce482d (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - 抹茶粉さん» 抹茶粉さん、コメントありがとうございます！とてもとても嬉しいです…！私もれいさんにプロデュースされたい！という思いから書き始めたので、光栄です笑 (2017年8月2日 22時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶粉 - 零さんにプロデュースされるなんて夢見たいです…！もう始まりから胸のきゅんきゅんが鳴り止みません！笑 続き楽しみにまってます！更新頑張ってください！ (2017年7月26日 16時) (レス) id: 634a139de2 (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - ベリーさん» ベリーさん〜！ご指摘ありがとうございます。修正してまいりましたのでご確認ください。そして、またこのような事態があればお知らせください。 (2017年1月14日 13時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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