第２５話 ページ27
「あのー、先輩？なんで、手当てしてくださるんですか？」
静かな空気が流れる中、何も言わずに、夜風の手当てを続ける、忍足。
「あのー、先輩？せんぱ……」
「Aは、走りたいん？」
「え、あ、はい。そりゃ、走りたいですよ。」
忍足は、絆創膏を、夜風の足に貼ると、夜風の事を見た。
「なら、膝のケガ、そのままにしといていいん？」
夜風の目が大きく見開かれる。何しろ、夜風は、とうぶん〈忘れていた〉のだ。自分を〈大切にする事〉を。
目先にあるのに、遠いタイムにばかり気を取られて。自分のタイムをあげる事ばかり考えていた。
ケガをしているのに、手当てをしている時間が、もったいないと思い、ろくに手当てもしてこなかった。
忍足は、言った。
「俺のハチマキが絡まったって、聞いたから、来ただけなやけど、来たら傷もそのまんま。ずぅーっと、ソファに座ってるから、手当てしただけやで。」
遠回しの謝罪なのか、彼女に呆れただけか。それとも、医者の息子としての意見を言ったまでか。
真意は分からないが、忍足はたんたんとそんな事を言った。
「ありがとう……ございます。」
――情けない。
皮肉なことに、それを彼にきづかされた。忘れていたものを。
忍足は、立ち上がると、夜風の頭に手を伸ばした。
クシャクシャ、と数回、夜風の頭をなでると、ドアに足を向ける。
「――先輩ッッ」
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真琴 - 紗絢さん» 読んでくださりありがとうございます！！更新頑張ります！(v^∀°) (2015年4月8日 21時) (
レス) id: 86ff961fd7 (このIDを非表示/違反報告)
紗絢 - めちゃ×2面白いですね！続きが気になります！更新頑張ってください( ^ω^ ) (2015年4月7日 19時) (レス) id: a438011908 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真琴 x他1人 | 作成日時：2015年4月4日 21時
