検索窓
今日:19 hit、昨日:26 hit、合計:48,181 hit

エピソード144_紅玉side ページ6

そして。

「お姉ちゃんは、宮中の権力争いに興味がないと思っていたけど、大丈夫?」

とも言われた。

あの日、私はこう答えた。

玉「陰でこそこそ言う人が多いけど、あそこまで真っ直ぐな子って珍しいと思うのよね」

「こそこそしないけど、己の私利私欲のためならば、わき目もふらずに一直線、って感じですけど」

玉「うふふ、そうね。でも、だからこそ信じられるわ」

「――?」

玉「宮中では、みんなが出世しようと、それぞれを出し抜こうとしているわぁ。でも、普通、そんなそぶりは見せないでしょう?」

「まぁ、そうですね」

Aちゃんが少し引いているのが分かった。
当時、Aちゃんも、お父様を亡くされて、第二皇女から、第九皇女になったことで陰で色々言われていたから。
幼心に、宮中の官僚たちの口先ばかりの、慰めに疲れれていたんだと思っていた。
……お兄様方もそんなAちゃんを気遣って、色々なさっていたけれど。
それをやっかんだ人たちが、遠まきにAちゃんを見て、こそこそ悪口を言うのも知っていた。
……Aちゃんは、それをしらんふりできる強い子だったけど。
彼女を支えていたのは、あくまで紅炎お兄様の慰めが大きかったから。
家族以外にも、信用できそうな人はいる、と教えてあげたかった。
Aちゃんは、引きこもっていた私の部屋に遊びに来てくれる、優しい従妹だったから。
Aちゃんと、義理とはいえ姉妹になれたのは本当にうれしいと思っていたから。

だから。

玉「それなのに、そんなそぶりを堂々と見せるって、凄いと思わない!?」

私は、あえて、夏黄文とAちゃんを引きあわせた。
彼女は私の言葉に苦笑した。

「凄いって言いますか……うーん。……周りが見えていない……ただのバカ……いえ、猪突猛進な方だとは思います。一生懸命な姿勢は、多少好感が持てます」

言葉を選びながら、何とか前向きに、夏黄文を評価していた妹だったけど。
その目は、心なしか、だんだん嬉しそうになっていて。

玉「猪突猛進! ぴったりね」

私の方が嬉しくなってしまっていた。
うふふ、と笑いかけた私に、年相応のあどけない頬笑みを返してきたAちゃんが印象的だった。

「そう! 猪突猛進です!! ……でも……まぁ、自分のためでもなんでも、真っ直ぐな人みたいだし、玉姉を傷つけないで、守ってくれそうではありますね。その点は安心です」

そんな彼女の口から出るのは、私のことばかりだった。

エピソード145_紅玉side→←エピソード143_紅玉side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (76 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
74人がお気に入り
設定タグ:マギ , 練紅炎、練紅覇 , 煌帝国   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

一花(プロフ) - キャンディさん» コメント有難うございます。亀更新の上、返信まで遅くなり、申し訳ありません(汗) 面白いと言ってくださり嬉しいです。この作品は、連載作品の中で恐らく一番、趣味全開で書いてます。更新頻度が都合で減ってますが、宜しければ今後もお付き合い下さると幸せです! (2014年10月5日 13時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
キャンディ - とても面白い話ですね!!楽しく読ましてもらっています。これからも更新頑張ってください!応援しています!! (2014年9月23日 14時) (レス) id: 5d912ff5a3 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» ありがとうございます! なんだか、書いていると話の堂々巡りをしている気もしますが(汗) 楽しんでいただけるように、お話も少しずつ、前に進めますので、これからも宜しくお願い致します!(^-^) (2014年9月14日 18時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)
グーミリア - はい!とっても楽しみにしています! (2014年9月11日 21時) (レス) id: 9d3eb75538 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - グーミリアさん» コメント有難うございます! 作品を良いと仰ってくださり、感謝します。そして……更新滞っていてすみません(滝汗) オフの諸事情で、更新頻度が減ってますが、途中放棄はしませんので! 今までより、頻度はぐっと下がりますが続けますので、よろしくお願いします! (2014年8月31日 12時) (レス) id: efaaeba1ca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:一花 | 作成日時:2014年7月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。