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A side
「予選で負けんなよ!」
何事もなかったかのように黒子くん達にそう告げ、歩いていく。
『…何してんの、離してよ』
「…ごめん」
それは何に対してのごめんなのか、私にはよくわからなくて。
「俺のせいで……赤くなっちゃってるし」
そう言って彼は私の頬を撫でた。
優しく、腫れ物を触るかのようにして。
『…黄瀬くんのせいじゃないでしょ、どう考えても』
「俺の女って勘違いされたから殴られたんスよ?」
『それはすっごく心外だけど』
中学の頃だってまともに話したことないのに。
高校入って同じチームだと知ってでさえも全然関わって来なかったのに。
「家まで送る。どこ?」
『あっちだけど…送んなくていいし』
「もうすぐ日暮れるし、女の子1人じゃ危ないでしょ」
『私のこと女の子だって思ってないでしょ、嫌いな奴家に送るほど暇なの?』
「…はは、まぁ。嫌いだったけど」
嫌いだった、
という過去形の言葉に疑問を持ち。
「…さすがに申し訳なくなったっていうか……その、今までずっと。ごめん」
急な謝罪に、驚きを隠せず。
『………私も、ごめん』
なぜか勢いで私まで謝ってしまった。
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作者名:愛璃珠 | 作成日時:2021年8月7日 20時