大好きなんスもん【黄瀬涼太】

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全中決勝での111vs11。

あの結果を見た時、あまりショックを受けていない自分に驚いた。また、紫原や赤司の言っていた言葉を思い出した。



“Aちん、しつこいよ”


“もう何を言っても無駄だ”



“諦めろ”





あの時から、もう何もかも諦めていたのかもしれない。
この人たちには何を言っても無駄なんだって。もう遅いんだって。

だから今だって学校に来ていない黒子や、ずっと落ち込んでいるさつきより元気だもの。

ごめんね、二人とも。




「A」




噂をすればなんとやら。

下校中、一人で歩いていると後ろから元主将様が声をかけてきてくださり、二人で一緒に帰路へ着く。




『赤司は、洛山だっけ？』

「あぁ、Aはまだ決めていないのだろう？」




何 故 知 っ て い る 。

赤司が変わってしまい、厳しい言葉を受けてから何となく話しかけずらく、多少気まづい雰囲気を感じつつも、いつものように他愛のない会話をする。

多分、気まずいと思っているのは私だけなんだろうな。




「A、一緒に洛山へ来ないか」


『…は』

「お前の能力を洛山で利用したい」




ほらね。


気まずいなんて思っているのは私だけなんだ。今のあんたは使える駒はとことん使う人だもんね。

本当、別人だ。




『洛山なんて私の成績が足りないから無理だよ』

「それは残念だ。俺の方も悲しがってると思うよ」




二重人格なんてそんな非現実的なもの、あるわけないと思っていた。

けれど、目の前の彼を見ると二重人格は本当に存在することを思い知らされた。

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