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さつきからも一緒に桐皇に行かないかと誘われ、「考えとくね」とだけ返した。
それから数日後、黒子から電話で放課後会えないか、と連絡が来た。受験生の放課後なんて、勉強以外にすることがないので当然暇である。
「お久しぶりです、Aさん」
『うわ、久々に見た』
公園のベンチに二人座って話す。
この時期の私たちがする話題なんて決まっていて、黒子はどこの高校に行くのかだとか、私はどうするのかだとかの話題でもちきりだった。
『とりあえず、赤司や緑間とか紫原がいる高校には行けないでしょ?私の成績的に行けるとしたら青峰か黄瀬がいる高校か、全く別の高校か……』
「…それなら、僕が行こうと思っている高校に来ませんか?」
『え?』
「罪滅ぼしなどではないのですが」
彼は元々暗かった空気を、もっと暗くして話し始める。
罪滅ぼしって何だ。彼は私に何か悪いことをした時があっただろうか。
「僕、今でも後悔しているんです」
灰崎くんと行為に陥ってしまったあの日、黒子が居残り練習を止めておけば私が襲われることはなかったのだと。
確かに灰崎くんと残る前、最後に会ったのは黒子だった。しかし彼に口止めしたのは私だし、私が灰崎くんをもっと警戒していればあんなことにはならなかったのだ。
どう見ても悪いのは私なのに、黒子は本当にもう、優しい子だ。
『黒子のいる学校には行かないよ』
「…え」
予想外の答えだったのか、彼は驚いた表情で私の顔を見た。
後悔してる?
僕が止めておけばAさんが襲われることはなかった?
私だって同じだよ。
紫原と赤司が1on1をした時、私が必死に止めておけば赤司が別人になることはなかったかもしれない。
黒子にも、黒子の友達にもこんな思いをさせることはなかったかもしれない。
私だって後悔してるよ。
黒子に申し訳ないと思ってるよ。
だから私たちはある意味、似たもの同士なのかもしれないね。
『過去はもう変えられないんだよ。変えられるのは、未来だけ』
「……っ、…」
『バスケ、続けるんでしょ?もう逃げるな』
「…ありがとう、ございます」
バスケットボールを持っていた彼の背中をバシッと叩いて押した。
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春(プロフ) - らてさん» とても素敵なコメントありがとうございます!他のメンバーのお話も考えております。ご期待に応えられるか分かりませんが頑張ります!ありがとうございます!! (2023年1月24日 7時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
らて(プロフ) - とっても面白いしドキドキしました。黄瀬くんも他の黒バスメンバーももっと大好きになりました。素敵な時間をありがとうございました!!!続編や他のメンバーのお話もぜひ見たいです、無理せず頑張ってください、応援してます! (2023年1月8日 0時) (レス) @page47 id: f9f6bd1b23 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - みかんさん» そんなこと言ってもらえるなんて嬉しいです( ¨̮ )ありがとうございます!!! (2022年6月24日 8時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 涼太大好き!!!私元々黄瀬君のこそ好きでしたけどこの作品読んでもっと好きになりました!頑張ってください! (2022年6月23日 21時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
春(プロフ) - みかんさん» わー!ありがとうございます!!涼太ぁぁ! (2022年6月22日 23時) (レス) id: edf0169bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春 | 作成日時:2021年12月4日 22時