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第九夜 ページ10

貴「…」

言葉が詰まった。
こんな所にいる筈のない者がいるのだから。

「おぉー流石日ノ本一の女。噂通り、いやそれ以上に美人だなぁ。」

貴「…そんな事はござりんせん。旦那方も、色男でありんすなぁ。」

「いゃぁ、美人だよ。そう思うだろ、伊庭。」

伊「…っそうですね。とても美しいです。」

伊庭八郎。
幕府直参旗本であり、伊庭道場の跡取り息子。

彼女にとっては、幼い頃からの知り合い、いや友人だった。

感情を押し殺して、夕霧として笑う。
過去の事など何も無かった様に。




伊「すみません、本山が。京に来れた事で浮足立っていて…」

貴「お気になさんなんし。京に来る事は大変でごさりんしょう。」

伊「…あの」

貴「あい、なんでござりんしょう。」

本山が飲み潰れた後、恐る恐るといった様に声を掛けてきた。

伊「やっぱり、菖蒲ですよね?一ノ宮菖蒲。」

貴「さいですか?わっちには、とんと見に覚えのない事でありんす。」

伊「嘘…付かないで下さい…」

やめてくれ、そんな寂しそうな顔をしないでくれ。
大切な者がいなくなる哀しみは十分知っているのだから。

彼が勘付いている事は分かっていた。
恐らく、聞かれるだろうと。
しかし、いざそうなると中々言葉が出ない物だ。

貴「…」

伊「あの時、急にいなくなってからずっと探していたんです。勿論、歳さん達も。」

貴「誰にも言わない、そう誓えるのなら話しんす。」

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設定タグ:薄桜鬼 , 沖田 , 伊庭   
作品ジャンル:恋愛
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牡丹一華(プロフ) - ありがとうございます!中々進みませんが、頑張って作って行きたいと思っているので、よろしくお願いします! (2018年5月30日 19時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
結葉 - すごい楽しいです!続き、頑張ってください! (2018年5月19日 22時) (レス) id: e0601b0ff2 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹一華(プロフ) - コメントありがとうございます!出来るだけ早く、作りたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします! (2018年5月7日 0時) (レス) id: 3334f9c658 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆 - わー―!!続きが気になります!応援してます。頑張ってください! (2018年5月6日 23時) (レス) id: 8bff64fcc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:牡丹一華 | 作成日時:2018年4月30日 1時

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