離れたら ページ20
やっとの思いで部屋にたどり着き、ベッドに横たわる。
柔らかな感触の毛布は熱がなく、生地の冷たさが体を冷ました。
心なしか熱は頬や首筋に移動してしまったのか、体全体が火照ってきて熱い。
着ていた制服を脱ぎ、せめてシワがつかないような形にしてベッドの下へ。
シャツのボタンを苦し紛れに外す。3つ4つはずしてまた横になって。
服と肌の間を通り抜け、普段は感じられない温度が舐めるように体を這う。
全てとは言わないが、体に篭った熱をゆっくりと落ちていった。
Aさんに伝えなきゃいけないんだろうな。
剣城君が言ってたように、【これから】にかかってるって言うんなら。
でも何て言えばいいんだろう、もう何度も好きだって伝えてるのに
その好きが、何度も踏み潰されて死んでいっているのに。
一度寝返りを打つ。目の前には壁が広がった。
どうしようか、この気持ち。
.
.
.
「...二日後に、××病院。」
「そうだ。用意は私がしておくが、心の準備だけは自分でしろ」
部屋の中で、玲名と次の入院のことについて話していた。
もうこれで最後ならいいんだけどね。きっと最後だろうけれど...
「ねえ玲名」
「何だ」
「玲名は、私がいなくなったら寂しい?」
ずっと思うことはひとつだった。10年以上変わらないことばかり心配した。
[自分を必要としてくれる人間がいるか]、と。
玲名は私の問いに驚きながらも、呆れた表情で大きくため息をついて
「別に困らない」
と、冷たく低いトーンで少し早口に答えた。
「...ひどい」
「お前がいなくなっても、不自由になることなんてない。十分生きていける」
そりゃ玲名に何かしてあげられたわけじゃないから、そうかもしれない。
でも少しだけでも必要とされたかった。
「...とは、言ってみるんだがな。」
付け足すように繋げて言う。驚いているとベッドの空いた部分に座り込み
視線を逸らしながらも優しく答える
「月並みな言葉だが、お前がいないとつまらないんだろうな」
「...」
それちょっと反則だな...
思わず詰まりかけた喉に気づかれないよう、深く呼吸をすると
玲名は思ってもない言葉を。
「だが、お前がいなくなって一番困る奴が居る」
「...風丸君?」
「本当にそいつが一番困るのか?」
一瞬、言われたことがわからなかった。でもすぐに脳裏を何かが掠める。
「...マサキ、君...」
17人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします!よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます!もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます^^ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:佐奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時:2014年9月20日 20時