拒否反応 ページ19
...帰り道
「はぁ。」
橙の色が落ちてきて、灰色のはずのコンクリートは美しく光っていた。
視線を上げると黄金色の太陽が半分沈んでいる。
それを追いかける藍色の夜は、月を先頭に空を覆い始め街を暗くしていく。
どうもこの沈みきったモチベーションを戻してくれるような色ではない。
Aさんが本当にいなくなってしまったらどうしよう？
また俺は、Aさんのような拠り所を独りで探すのだろうか。
きっといないのに。自分が一番分かっているのに。
今度は視線を横へずらす。もう数十メートル先にはお日様園があった。
いつもなら嬉しいはずの家路が、とても遠くて冷たいもののように感じる。
Aさんの部屋にはカーテンがかかり、中の様子を見ることができない。
早いうちに病院に行って、手術してしまうんだろう。
...大切な人が助かるのに、何で俺はこんなに苦しいんだ。
[叶うはずないってわかってる]って、言ったくせに。
「...ただいま」
ぐっといつもより重いドアを押し開け、涼しい家の中へ入る。
ぎゃんぎゃんと騒ぐガキの声さえ、今の俺には羨ましく感じた。
靴をいつも通りしまい、音を立てないようAさんの部屋の前に立つ。
ドアノブに触れるものの、さっき考えていたことが高速でバチバチと頭を走り回った。
「...っ、う」
あぁあぁあぁ。余計なことを考えていたせいか脳味噌が溶けかけているように頭が熱い。
何と言えばいいのかわからない、強いて言うなら風邪のようにくらくらとしている。
頭を抱え、膝をゆっくりと崩しその場へ座り込む。フローリングの床は冷たい。
...ダメだ、今あの人と話すほどの元気も強さもない。
頭の熱は痛みへ変わる。ズキズキと脳細胞を食い散らかすような痛みが走る。
重い体を引きずるように、階段を上がる。途中で落ちてしまうかと思うくらい体が重い。
何で、何で今日に限って。
.
.
.
「... ... ...」
おかしいな...さっきマサキ君の声がしたのに。
いつもなら真っ先に部屋に来てくれるのに、今日は来ない。
いつも笑顔で[Aさん、]と笑ってくれる彼が。
そりゃわかってる。手術のことを話したから、きっと気分が重いんだろうし...
それに、いつも笑顔でいられるほどマサキ君は完璧な人間じゃない
勝手に思い上がっちゃダメだ、元気になるまで待たなきゃ。
...でも、分かっていても、彼の声が聞きたかった。
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夜月桜 - な、泣ける。・゜・(ノД`)・゜・。 小説でこんなに感動したことないです(>_<) (2017年3月29日 20時) (
レス) id: 889de71093 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» こちらこそよろしくお願いします！よろしかったら他作品もよろしくお願い致します。 (2015年1月3日 20時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - よろしくお願いします! 更新頑張ってください!! (2015年1月3日 16時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
佐奈(プロフ) - Mmさん» コメントありがとうございます！もうすぐラストなので、この雰囲気を保ちつつ納得がいくエンドをかけるよう頑張りたいです。更新も張り切りますので今後もよろしくお願い致します。 (2015年1月2日 15時) (レス) id: 2725121de3 (このIDを非表示/違反報告)
Mm - すごく良かったです!読んでるとき涙がでてきてもう大変でした笑 更新待ってます＾＾ (2015年1月2日 15時) (レス) id: 5a5650f5d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：佐奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/e2e95d529a1/
作成日時：2014年9月20日 20時
