愛すべき、松野一松｡［2］ (ページ38)

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優しい弟を持って良かったねページ38

〈トド松side〉

学校から帰ってすぐ母さんに聞き、二階で寝ているであろう一松兄さんの元へ歩を進める。
ドスッ、と歩く音に怒気を込めて。

トド松「一松兄さん、入るよ」

ノック代わりに苛立ちを含んだ声でそう告げれば乱雑に襖を開ける。
布団に丸まっているのが見え、僕の怒りは更に増した。

トド松「ねぇ、一松兄さん。Aちゃん何か僕らに言えてないことがあるみたいなんだけど、何か知らない？十四松兄さんは知ってると思うんだけど、一向に口を割らないんだよね。」

「……」

トド松「ちょっと一松兄さん？聞いてんの」

「……」

トド松「おい!! 可愛い弟が質問してんだけど！」

痺れを切らし兄さんの布団を思い切り剥いでやった。

僕は驚くことになる。

だってそこにいたのは、カラ松兄さんだったんだから。

トド松「いやお前かよ!!!!」

チョロ松兄さん張りのツッコミを繰り出せば剥いだ布団を畳に叩きつけた。

カラ松「ああ…一松に話しかけているんだと思っていた、答えなくて悪いな、トド松…」

あの日から元気が無い元気が無いと思ってはいたが、学校を休んでいたとは。

Aちゃんが僕らを迎えに来なくなってから、一緒に登校することがなくなった。
そのため、カラ松が学校を休んでいることに気が付かなかったのだ。

…元から興味無いから気づかないんだけど。

ドライモンスターだって？
うっせ！

トド松「…で、これは先生から聞いたことなんだけど。Aちゃん、北海道行っちゃうみたい」

先程素知らぬ振りで問いかけたのは、一松兄さんのためだ。Aちゃんが自分に隠しているなんて知れば、また自己嫌悪に落ちるから。

ほら、ドライモンスターなんかじゃないでしょ？
え？こんな時に好感度取るな？そんなことしてないって～！

皆、こんな優しい弟を持って良かったよね。

トド松「Aちゃんと一松兄さん、あとカラ松兄さんなんでしょ、気まずいの。お前が行動起こすしかないでしょーが」

カラ松「俺が？」

トド松「全部言わないと分かんねーのかよクソ松…」

カラ松「すまない、ブラザー…」

僕は深呼吸してこう告げてやった。

トド松「ちゃんと話し合って来いっつってんだよ」

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お久しぶりです、黒咲です。
皆様覚えていますでしょうか…
かなり間を空けての更新、申し訳ありません。

ちまちま更新するつもりですので、もう少しだけお付き合い頂ければ幸いです。