愛すべき、松野一松｡［2］ (ページ29)

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違う人ページ29

後片付けも終わり、うとうとしていると一松が「トイレトイレ」と呟きながら居間を出ていった。

おじさんみたいだなんてうっすら思いながら、自分もたまにやってるかもなぁとも思った。

思いながら目を閉じる。

この時の私は知らない。──別に予知能力があるわけではないので知らなくて当然なのだが───このあと事件が起こることを。

事件と言っても、大きなトト子ちゃんロボが松野家を踏み潰したり、宇宙人が攻めてきたりするわけではもちろんない。

A「ん…あ、寝ちゃってた」

目を閉じるだけのつもりだったのに。

え、本当だよ？ほら、目を閉じるだけでも疲れがとれるみたいなことを聞いたからさ……

辺りを見回すと一松がいない。

もしかしてトイレに行ってそのまま部屋に戻ったのかな？

そう思って階段を上がった。

A「うわ、暗…」

二階の彼らの部屋は電気が点いていなかった。
しかし、モゾモゾと布団で人が動く音がしたので入ってみる。

A「入るよー…」

寝ていたら悪いので小声で告げた。

返事もないので、寝てるんだと思った。

すると腕を引っ張られて布団にダイブさせられた。

A「ほゎっ!?」

起きてたんだ。

暗くてよく見えないが、いわゆる床ドン状態なのは確かだ。

キス…されるのかな。
なんてこっ恥ずかしいことを考える。

A「…ま、待っ…」

静止しようと胸元に手を当てたところで気づく。

ﾁｬﾘ

一松が絶対に着けないであろうネックレス。

鎖みたいな形の。

すぐに分かってしまった、これは、

この人は──────カラ松くんだ。