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「ワシはお主のじじいじゃ。
好きに呼んでよい」
『っうぅ・・・・っ・・
おじい、ちゃ、んっ・・・・・・っ』
ぽんぽんと頭に手を置かれ、私はおじいちゃんの足に顔を押し付けて泣いた。
途中、優しくて抱き締めてくれた。
それから泣き止むまでずっと背中をさすってくれた。
今は一杯、甘えてもいいよね・・・。
一杯泣いた後は驚くほどスッキリしていた。
“溜め込むでない”とおじいちゃんに言われてしまった。
そんなに溜め込んでるつもりは無かったんだけど・・・。無意識にそうなってるみたい。
元気になった私はおじいちゃんの許可をもらって、火影邸にある演習場へと駆け込んだ。
泣いている暇はないんだ。
私は、強くならなきゃいけない。
全部守りたいから。
.
あれから数日が経過し、パパが迎えに来た。
ずっと見ていなかったその姿はとても懐かしく感じて、そして大きく見えた。
会えたことが嬉しくて、迎えに来てくれたパパの姿を見るなり、速効で駆け寄って抱き付いた。
普段こういうことはあんまりしないから、ちょっとだけ戸惑ってたけどちゃんと私を抱き留めてくれた。
頭を撫でる手が気持ち良くて目を瞑った。
からだからはパパのにおいと、ちょっとだけ鉄の臭いがした。
でもパパにはかすり傷すらなくて、ほっと胸を撫で下ろした。
ゴォッと、勢いのよい風が窓から滑り込んできた。
その瞬間、あの嫌なにおいが火影室を満たした。それはいつもより強いもので、反射的に顔をしかめてしまった。
原因はきっとパパだ。
からだに染み付いてしまうほど長い間そこにいたのだと、実感させられた。
「今日はもう休むといい。報告書は明日でよい。」
「はい。ありがとうございます。」
「任務はあさってからじゃ。」
「わかりました。」
私を抱っこしながらパパは答えた。んーん。やっぱりなんか敬語は聞き慣れないなぁ・・・・・・。
ちらりとおじいちゃんの目が私をとらえた。
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作者名:きゃおる | 作成日時:2022年9月24日 1時