80、もうひとつ ページ12
こうして１つの大問題を踏破し、後に柳はこう語る。
｢あの時の御礼だ。｣
と。
その《御礼》が何に対する御礼なのか、私には皆目検討もつかない。
ただ、過去の私の《何か》に対する恩返しなのだと、優しく微笑んだ。
さて、１つの難問を乗り越えた所で
もう1つの問題に、今度は私が向き合おう。
それは柳の解いた問題よりもずっと易しく、
ずっと避け続けた問題。
『……………』
真田｢……………｣
重っ苦しい沈黙。
他のテニス部員は、５ｍ程離れた場所から、私達の様子を伺っている。
もうかれこれ、15分以上も沈黙が続いている。
どちらかが言えば良いんだ。
《ごめん》って。
それは私も真田も分かっているのに
お互い、踏み出せないんだ。
A『…………っ』
声を出そうとしても、寸前で止まってしまう。
―――あぁもう、やだな。こんなの、ちっとも私らしくない。
『…………真田ッ』
名前を呼ばれた真田がピクリと反応する。
ただ、その先に続く言葉が思い付かない。
私はこんなに、臆病だったかな??
前の私なら、なんて言葉を掛けたかな??
数十秒の思考。
沈黙を破ったのは、真田の方だった。
真田｢佐倉…すまなかった!!!!｣
そう言って脱帽し、深々と頭を下げた。
『え…?』
混乱する私に、真田は更に続けた。
｢俺はお前の事を信じてやれなかった。
その上、あんな怪我まで負わせて…
あの時の俺はどうかしていた!!…本当に、申し訳無い…｣
やるせない表情で下を向く真田。
私は声が出ない。
なんで頭を下げるの??
私が真田を追い詰め、傷つけたんだよ。
悪いのは、私なんだよ。
怒りと悲しみと意地がごった煮になり、私は真田と皆に背を向けた。
だって、今泣いたら
きちんと謝れない。
張り合いが無くなってしまう。
私は、すぅと息を吸った。
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yn - めちゃくちゃ面白かったです( ´•̥ ̫ •̥` )最後のキスシーンは感動して泣きました！ (2022年2月10日 2時) (
レス) @page19 id: c85f91ed97 (このIDを非表示/違反報告)
栞 - 全部見た、6回位読んだ。何回も泣いて目が痛い。もっといろんな小説書いて欲しい。頑張ってください。 (2016年5月7日 19時) (レス) id: 7d989b00f5 (このIDを非表示/違反報告)
なぁみ＠テニプリ(プロフ) - 全部拝見させていただきました。もう、小説でこんなに泣いたんは初めてです！素晴らしい作品ありがとうございます！ (2015年6月28日 21時) (レス) id: 1b56b07512 (このIDを非表示/違反報告)
はにぃ(プロフ) - こんばんは！初めて拝見させていただきました！もう、3辺りから気づいたら泣いてました。小説とかでないたの初めてです。こんな素晴らしい作品をつくっていただき、ありがとうございました！ (2014年4月11日 22時) (レス) id: 81c414bc0b (このIDを非表示/違反報告)
我の封印されし左腕が疼くｗｗ - コアラ！ (2014年4月7日 17時) (レス) id: ce78beb37d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空豆 | 作成日時：2012年9月26日 17時
