風に翔ける【究極の絆グリフォン】 (ページ3)

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「雷門が革命を始めてから、もう結構経ったよね…何の為に剣城派遣したんだか。他校のシードも全然ダメだしさ」

「だな…にしても、まさか剣城が裏切るとはな。あの時の白竜の怒りは相当なもんだったよ」

「私アイツと喋った事なかったけど、周りに「俺に近づくな」的なオーラ漂わせまくってたのは覚えてるわ」

移動を終え、グラウンドにてアップを始めながら同じくMFである銀座宮と言葉を交わす。

剣城京介…白竜と同等の実力の持ち主、ゴッドエデンで1番最初に化身を出した人物。私はその近寄りがたい雰囲気に気圧されていた。

恐らく彼が覚えているシードは、事あるごとに彼に突っかかっていた白竜のことだけ。私の記憶なんて、万に一つも持ち得ていないだろう。

「そろそろ試合を始めるぞ！」

「あーあ、憂鬱だぁ…」

「諦めな」

頭上に設置されているスピーカーから、牙山の声が響く。先程の予想通り、今日の特訓メニューはエンシャントダークとの練習試合。普通の試合だったら楽しみなんだけど。生憎そうはいかないのがシードなのだ。

「Aーッ！」

「え、何…ッ！？」

突然背中に、温かい衝撃。

声変わり前の高めの声と共に、不意に視界が
真っ黒に染め上げられる。同時に、鼻前をふわっとしたいい香りが通り過ぎた。かと思えば、背中にのしかかる重みに耐えきれず、私はそのまま倒れ込む。

「おっもいッ…！潰れるって！」

「ごめんごめん、まさか倒れるとは思わなくてさぁ」

「試合前に怪我したらどうすんの」

ユニフォームに着いた砂を払いながら、差し出された手を取り立ち上がる。やってきたのはエンシャントダークキャプテン、シュウ…白竜と双璧を成すトップクラスのシード。

剣城がいなくなった事で競争相手を失っていた白竜には、いい刺激になった選手だと思っている。

こんな風に突撃してくることも屡々だが、今回は完全に油断していた。試合、覚えてろよ。

「ね、聞いた？雷門のこと。…教官、ここに連れてくるみたいだよ」

「だろうねぇ。白竜の気合の入り方おかしいもん。よっぽど剣城に会いたいのか、それとも究極がどうとかまた吹き込まれたのか…」

トーンを落とし、少し目を細めてシュウが言う。真面目な時の彼の癖だ。

目を動かせば、何やら帆田に指示を出す白竜の姿が。彼は昔から、ある種純粋な人間だった。言われた事を文句一つもなしにこなして、間に受けて。お陰様で、私はフィフスセクターに所属できた訳だけど。