風に翔ける【究極の絆グリフォン】 (ページ2)

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「わぉ、思ったよりやるんだね、雷門って」

少し薄暗いミーティングルームの中、皆で額をくっつけ合うようにして私の手の中のタブレットを覗き込む。映し出されるのは、つい先日行われたばかりの試合…HR3回戦、木戸川清修VS雷門。

司令塔、キャプテン神童拓人を中心に組み立てられる力強くも美しい連携に、チームワークに、私は見入っていた。

“雷門、3ー2で見事勝利！強豪校に対するこの快進撃、これはまさに革命の風と呼ぶに相応しいでしょう！両チーム共に気力を振り絞った接戦でした！”

試合終了の長いホイッスルが響いたかと思えば、わっと歓声が上がり実況がマイクを振り上げるようにして叫ぶ。目に映るのは、爽やかな顔でハイタッチを交わす選手達。

……。

「革命かぁ…ちょっとカッコいいよねぇ。なんかこう…厨二心を擽られるというか」

「あ、それちょっと分かるかも」

私の言葉に、青銅が反応を示す。“サッカーは管理されるべきである”という思想が広がる中、ここまで楽しそうにサッカーをする彼らの姿は、私にはとても煌びやかに、鮮やかに見える。妬ましいくらいに。

「おい、馬鹿なこと言ってないでとっとと作戦考えろよA。青銅も乗るな」

「もー、そんなこと言わないでよ白竜。面白味ないなぁ」

我らがキャプテン、白竜が顰めっ面でこちらを睨みながら言う。青銅は面白くない、と言った風に肩を竦めた。無論、私も彼と同意見。こうなった白竜はちょっと、否、かなり面倒だ。

「剣城がいなくて寂しいのは分かるけどさ、あんまり周りに振り撒かないでよね」

「寂しくなんかない！」

「はいはい、今日も元気でなによりでーす」

「口答えしてさらっと流されるのもいつも通りだね」という言葉を呑み込み、尚もなにやら叫んでいる白竜を無視してタブレットの画面を暗転させる。雷門…強敵かも、しれない。

「この後牙山教官の特訓だろ～？さっさと移動しようぜ」

「うっわやなこと思い出した」

「今日はエンシャントダークと試合かなぁ…」

「ほら、Aもいこーよ」

「うん」

ミルの言葉に促され、私は腰掛けていたベンチから立ち上がる。

雷門…ゴッドエデンに連れてこられるのも、時間の問題だろう。裏切った剣城のこともあるし、あの化身使い…松風天馬、神童拓人、錦龍馬。シードでもないのに化身を出すなんて、教官達の研究材料もいいとこだ。

…大丈夫。いつもと同じ。ただ、潰すだけなんだから。