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「シュウ、雷門見つけたよ」
「よし、ボールぶちこむね」
「あの、試合前なので少々手加減を…聞いてる？」
ボールを片手に柔かに微笑みながら、シュウは片足を大きく上げる。
心なしか周りの木々の擦れる音や鳥の鳴き声、波の音…その全てが静まり返ったような。そんな感覚だ。この人がイライラしていると碌な目に合わない。
「シュウのやつ燃えてるなー、雷門の奴ら怪我しなきゃいいけど」
「ま、まぁ剣城いるっぽいし大丈夫じゃない…？多分」
シュウの餌食に選ばれたのは、恐らく剣城、松風、そして西園の3人だ。なんて不運な。
「ハアッ！！」
温かな木漏れ日を引き裂くようなシュートを、彼はなんの躊躇もなく放った。白竜とはまた違った強さ、恐ろしさを纏っている。これが2人がゴッドエデンのツートップと呼ばれる所以だ。正に究極の光であり、闇。
不穏な空気に気がついていたのか、周りを警戒していた剣城がいち早く反応した。素早く動き、シュートを此方に蹴り返してくる。
白竜曰く堕落した、というその能力も、矢張り雷門の中では飛び抜けているのだろう。
シュウが奥から駆け出し、空中でそのボールをトラップした。着地すると同時にボールを足で軽く蹴り上げ、右手に乗せる。
あれ、こんな派手な登場する予定だっけか。
「へぇ…少しはやるじゃないか」
あダメだ、煽りスイッチオンになってる。
私もエンシャントダークのメンバーと共に、シュウの横へと駆け出した。突然の乱入者に、剣城達は探るような目つきで此方を睨んでいる。
「ねぇ、行成危ないじゃないか」
西園となにやら話していた松風が、一歩前に出て咎めるように言う。シュウはそれに応えない。それどころか、真っ直ぐに松風を見つめ返す。
不意に横から、草木を掻き分けるような音がした。
「何があった？」
「キャプテン達こそ…どうしたんですか」
「森の中を、風を切る凄い音が聞こえたんだ。音の方向を追ってきたら、お前達がいた」
「それに、僕達もね」
現れたのは残りの雷門一同。シュウが神童と松風の会話に割って入る。どうしよう、なんか凄い機嫌悪い。
君達をずっと見てた。ボロボロにされて負けてしまうのも。この森から出て行け。要約すると大体そんな感じだ。シュウは毒を吐きまくる。
「…ゴッドエデンのチームか？」
恐らく雷門の誰もが気になっているであろう質問を、DFの…確か狩屋とか言ったか。が投げかけた。
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作者名：わらびもち | 作成日時：2020年8月18日 23時
